強い危機感、好転遠く 茨城・河内町、常陸太田市 「消滅可能性都市」公表 

移住や定住を推進するため4月に新設された河内町生活環境課=町役場

民間組織「人口戦略会議」が24日公表した「消滅可能性都市」で、茨城県内17市町村の若年女性人口が2050年に20年比で50%以上減少するとの推計が示された。多くの自治体が人口減少に危機感を抱き、子育て支援や移住促進策に取り組むものの、少子化基調は継続。近年は特色ある施策も打ち出しにくい状況で、事態の好転は見通せない状況だ。

同会議の報告書で20~30代の若年女性の減少率が推計74%となった河内町。20年時に597人だった若年女性は50年には151人にまで落ち込む計算だ。

近年の町人口減少は著しく、13年度には1万人を切り、今年3月末現在では8000人を割り込んだ。

町は人口減少問題を担う部署を明確に位置付けていなかったが、今年4月には移住定住対策を担当する部署を新設した。

野沢良治町長は、町人口減少について「非常に大きな問題。若い世代が町で家庭を持ちたいと思えるようにしたい」と語り、移住者向けの補助金制度を充実させる方針を示した。

県内自治体でいち早く子育て支援に乗り出した常陸太田市。報告書では50年に同65%と厳しい状況が突き付けられた。若年女性人口は10年の4849人から20年には3506人に減った。

市は09年から人口減少対策を本格化。「子育て上手 常陸太田」をキャッチフレーズに、新生児世帯への助産師派遣や子育て世帯の住宅取得助成金交付など特色ある施策を打ち出した。

現在は、同市がいち早く取り組んだ施策も国や他自治体で実施されるようになり、市担当者は「アドバンテージが詰まっている」と厳しい表情。今後は「ニーズを的確に捉え、常陸太田を選んでもらえるよう効果的な施策を検討したい」と前を向く。

県内で唯一、「自立持続可能自治体」に挙げられたつくばみらい市は近年、つくばエクスプレス(TX)みらい平駅周辺地域を中心に子育て世帯の移住が進む。4月1日現在の若年女性人口は5372人で、総人口の約1割に上る。

同市では人口増加に伴い昨年、県内では13年ぶりとなる産婦人科の診療所も開設した。

市は今後も子育て支援や地元への愛着醸成を図り、さらなる人口増加を目指すとともに「流出対策にも注力したい」(担当者)考えだ。

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