4月25日は「世界ペンギンの日」です。ペンギンといえば、水族館や動物園でも大人気のかわいい動物!
ペンギンの日を迎えるにあたり、ペンギンの種類や生態について理解を深めてみませんか?
この記事では、ペンギンの日ができた由来やペンギンについてのトリビア、ペンギンの種類を詳しくご紹介します。
4月25日は「世界ペンギンの日(World Penguin Day)」!
「4月25日は世界ペンギンの日」と聞いても、「どうして?」と疑問に思う人がほとんどではないでしょうか。
4月25日がペンギンの日になった理由について見ていきましょう。
由来はペンギンの大移動
世界ペンギンの日は、ペンギンの環境や生態についてより知識を深めてもらうことを主旨に定められた記念日です。
毎年4月25日になると、ペンギンのいる水族館や動物園ではさまざまなイベントが行われます。
なぜ4月25日がペンギンの日になったのかというと、南極では4月25日ごろにアデリーペンギンが突然大移動を始めるためです。
この不思議な発見をきっかけに、ペンギンへの理解や興味を深めようという機運が高まりました。
なおアデリーペンギンの大移動を発見したのは、アメリカの南極観測基地「マクマード基地」の研究者たちです。
マクマード基地は数ある南極観測基地の中でも最大規模を誇るといわれており、夏期には1,200人もの研究者が滞在して調査を行っているそうですよ!
▼南極はどこの国にも属さない
ペンギンが住む南極には、世界各国の観測基地があります。
南極の観測については、どの国でも自由に行うことが可能です。
南極を自由に観測できるのは、1959年に「南極条約」が締結されたため。
この条約では、「南極が世界共有の財産であること」が確認されました。
すなわち南極について、どこかの国が主権を主張することはできません。
現在では、アメリカやイギリス・ニュージーランド・中国・ロシア・南アフリカといった世界の国々が基地を置き、平和的に調査を実施しています。
もちろん日本も例外ではありません。
日本は南極に4つもの観測基地を設置して、宇宙、気象、生物などを調査しています。
ペンギンのトリビアをチェック
ペンギンは日本の水族館や動物園でも見られる、なじみの深い動物です。
「かわいい!」というイメージがありますが、生態や特徴については知らないという人も多いのではないでしょうか?
ここからは、ペンギンについてのあれこれをご紹介します。
世界に生息するのは18種類
ペンギンは「ペンギン目 ペンギン科」に属する鳥です。
分類方法によって変わることもありますが、現在世界には18種類のペンギンがいるといわれています。
また、その約半数が絶滅の危機にあるそうです。
ペンギンの大きさは、種類によってさまざまです。
最大といわれる「エンペラーペンギン」は身長100~130cm、体重約30kgといわれる一方、最少の「コガタペンギン」は体長30~40cm、体重約1kgしかありません。
数字だけ見ると、同じ種族とは思えませんね!
▼世界最大のペンギン
現在、最大といわれているのはエンペラーペンギンですが、その昔、ジャイアントペンギンと呼ばれる人間サイズのペンギンが南極辺りやニュージーランドで化石として見つかっているそうです。
その大きさは150cm~170cmともいわれ、想像すると結構怖いですよね。
ペンギンの口の中はギザギザ
ペンギンの主食は、基本的に魚やイカ、甲殻類です。
ただしペンギンは環境適応力があるため、居住地や季節によって食べる物は異なるといわれています。
ちなみにペンギンの口の中には、歯がありません。
その代わり、舌と上あごから口の奥まで、ギザギザした突起が付いています。
この突起がくわえた魚が飛び出すのを防ぎ、口の奥まで運びやすくしているのだそうです。
飛べないけれど泳ぎと潜水は得意
その昔のペンギンは空を飛べたといわれています。
しかし生息地では空より海の方が生き延びやすかったようで、ペンギンは空ではなく海仕様に進化を遂げました。
例えばペンギンの羽は板のような形状で、ウロコのようなもので覆われています。
「フリッパー」と呼ばれるこの羽は、水中の摩擦と乱流を軽減するのに最適。
鳥であるはずのペンギンが水中で自由自在に動けるのは、フリッパーのおかげなのです。
一般的なペンギンが泳ぐ速度は、時速約11kmといわれています。
また最も速いといわれるジェンツーペンギンは、時速約35kmで泳げるそうですよ!
ちなみに世界で一番早く泳ぐ生き物はバショウカジキで時速90kmといわれています。
北半球にはペンギンがいない
「ペンギンは寒いところに住む」というイメージがありますが、極寒の南極に暮らすペンギンは一部のみ。
ペンギンの多くは、オーストラリアやニュージーランド・南アフリカなどの温暖な地域にも暮らしています。
ただし生息地は南半球のみで、赤道をまたいだ北の地域に野生のペンギンはいません。
「北極も寒いのに、ペンギンがいないの?」と不思議に思う人もいるかもしれませんね。
北極には大型の肉食獣・ホッキョクグマがおり、ペンギンの繁殖には適しません。
同じ厳寒の地でも、ペンギンがいるのは南極だけです。
群れで協力して生活する
ペンギンは社会性が高いといわれており、群れで暮らすのが一般的です。
集団で行動することにより、天敵から身を守り生存確率を上げています。
群れを維持し続けるためにお互いがペースを合わせたり、配慮したりして暮らしているそうです。
なお集団で行動するペンギンは、狩りも集団で行います。
ただし全ペンギンで一斉に海に飛び込むわけではありません。
様子見のための1羽がまず海に飛び込み、その後を群れのペンギンが続く……という流れが一般的です。
天敵がいるかもしれない海に真っ先に飛び込むのは、とても勇気がいることですよね。
ビジネスでは未知の領域にチャレンジする人をこのペンギンにたとえ、「ファーストペンギン」などと呼ぶことがあります。
コミュニケーションは声と体
群れで暮らすペンギンは、仲間同士のコミュニケーションが非常に重要です。
危険が迫っているとき・繁殖を呼びかけるとき・領域を主張するときなど、さまざまな鳴き声を出したり体を使ったりしてコミュニケーションを図ります。
水中での追いかけっこも重要なコミュニケーションの1つで、若いペンギンにとっては生き残る術を学ぶ重要な体験なのだそうです。
数か月断食状態で卵を温める
ペンギンは、卵が生まれるとオスとメスが交代で卵を温めます。
ただし温め方については「キングペンギンは立ったまま」「ジェンツーペンギンは腹ばいで」など、種類によってさまざまです。
また南極に住むコウテイペンギンは、卵を温めるのはオスの役割となっています。
卵を産んだメスはエサを求めて海に行き、2カ月間は帰ってきません。
オスはメスが食べ物を持って帰ってくるまで、飲まず食わずで卵を温め続けます。
ちなみにペンギンはオスとメスの見分けがとても難しく、動物園の飼育員でもなかなか見分けられないそうです。
ですが、ペンギン同士はしっかりと見分けているようで、どのように見分けるのか分かった場合は、研究者たちの目が輝くかもしれませんね。
日本で見られるペンギンは11種類
日本は世界でも有数の「ペンギン好きの国」。
ペンギンモチーフのキャラクターはさまざまあり、ペンギンに親しみを感じる人は少なくありません。
そんな日本では、18種類いるペンギンのうち11種類が飼育されているといわれています。
日本で見られるペンギンについて見ていきましょう。
コウテイペンギン
【身長】約90~110cm
【体重】約30~45kg
【見られる場所】名古屋港水族館、アドベンチャーワールド
世界最大のペンギン。
一生のほとんどを、南極の氷の上で過ごします。
耳や胸に黄色の筋模様が入っているのが特徴です。
オウサマペンギン
【身長】約75~80cm
【体重】約15~18kg
【見られる場所】鴨川シーワールド、八景島シーパラダイス、長崎ペンギン水族館 など
外見はコウテイペンギンに似ていますが、サイズは一回り小さめです。
喉のあたりのオレンジ味が強いのも見分けるポイントの1つ。
どうしても分からないときは、ヒナを見てください。
キウイのような茶色いヒナを連れていたらオウサマペンギンです。
アデリーペンギン
【身長】約55~60cm
【体重】約3.5~5kg
【見られる場所】名古屋港水族館、アドベンチャーワールド、八景島シーパラダイス など
顔が黒く、目の周りが白いのが特徴です。
尾羽が長く、若鳥はアゴの下が白くなっています。
さまざまなキャラクターのベースになっているおなじみのペンギンですが、気性はやや荒っぽい傾向です。
ケープペンギン
【身長】約55~60cm
【体重】約3~3.5kg
【見られる場所】仙台うみの杜水族館、アクアパーク品川、マリンワールド海の中 など
南アフリカに生息するペンギンです。
白いお腹に斑点があり、胸には黒いラインが入っています。
マゼランペンギン
【身長】約58~62cm
【体重】約3.8~4kg
【見られる場所】鴨川シーワールド、志摩マリンランド、大分マリンーンパレスうみたまご など
マゼラン海峡を発見した「マゼラン」の名を冠するペンギンです。
マゼランの世界一周航海で初めて発見されました。
ケープペンギンと似ていますが、ケープペンギンよりも黒の面積が多めです。
ジェンツーペンギン
【身長】約65~70cm
【体重】約4.5~6kg
【見られる場所】旭川市 旭山動物園、海遊館、長崎ペンギン水族館 など
ペンギンの中で最も泳ぐのが速いといわれるのがこのジェンツーペンギン。
頭にヘアバンドのような白いラインが入っているのが特徴です。
その姿がインド系の人々を連想させたことから「ジェンツー(異教徒を意味する言葉)」と呼ばれるようになったといわれています。
また、2020年にデンマークで飼育されていたジェンツーペンギンは41歳141日も生きたとしてギネス世界記録に登録されています。
話は変わりますが、恐らく多くの日本人がペンギンの足を黄色で表現しているかと思います。
しかし、実際に足が黄色なのはこのジェンツーペンギンであり、他のペンギンは黒やピンクなのです。
ヒゲペンギン
【身長】約60~65cm
【体重】約3.5~5kg
【見られる場所】名古屋港水族館、アドベンチャーワールド、長崎ペンギン水族館
アゴにあるラインがヒゲのように見えることから、このような名前となりました。
またアゴのラインをあごひもにたとえ、「アゴヒモペンギン」と呼ばれることもあります。
ちなみにヒゲペンギンの学名は「Pygoscelis antarctica」。
“antarctica”は南極という意味ですが、南極で繁殖をしないという変わった学名の持ち主でもあります。
イワトビペンギン
【身長】約40~52cm
【体重】約2~4kg
【見られる場所】旭川市旭山動物園、新潟市水族館 マリンピア日本海、下関市しものせき水族館「海響館」 など
名前の由来は、このペンギンが岩場をぴょんぴょん跳び回ることにちなんでいます。
金色の冠羽(かんう・かんむりばね)と赤い目が特徴で、性格は攻撃的です。
マカロニペンギン
【身長】約55~65cm
【体重】約3.5~6kg
【見られる場所】箱根園水族館、下関市しものせき水族館「海響館」
「マカロニ(伊達男)」と呼ばれるのも納得の、魅力的な金色の冠羽が特徴です。
生息地では、何十万羽が集まる超巨大規模のコロニー(集団繁殖場所)を形成することで知られています。
コガタペンギン
【身長】約32~35cm
【体重】約1kg
【見られる場所】東京都葛西臨海水族園、長崎ペンギン水族館
「フェアリーペンギン」とも呼ばれる最小のペンギンです。
ただし縄張り意識が強く、見かけによらず攻撃的な性格をしています。
フンボルトペンギン
【身長】約55~58cm
【体重】約3.5~4kg
【見られる場所】おたる水族館、日立市かみね動物園、宮島水族館 など
胸に伸びる、太く黒いラインが特徴のペンギンです。
日本の気候と相性がよく、北海道から鹿児島までのさまざまな水族館や動物園で飼育されています。
日本で飼育されているペンギンの約1割は、フンボルトペンギンです。
ペンギンに起こっている危機
ペンギンの寿命は、10~20年です。
しかし近年深刻化する環境破壊や地球温暖化の影響により、ペンギンの中には絶滅の危機に瀕しているものもいます。
ペンギンが直面している脅威について考えてみましょう。
ペンギンの個体数が減少
アメリカの科学者が2020年に実施した調査によると、南極半島の近くのエレファント島にいるヒゲペンギンは1970年代と比較して約60%減少していることが分かりました。
またコウテイペンギンも減少の傾向が顕著となっており、2050年までには「26~47%減少する」との予測が出ています。
これを受けて米内務省の魚類野生生物局(FWS)は、コウテイペンギンを「絶滅危惧種保護法」の対象に含めることを発表しました。
ペンギンの個体数が減少している原因
ペンギンの個体数が減少している原因は、さまざまあります。
いくつかを見ていきましょう。
▼海氷面積の減少
地球温暖化により海水の温度が上昇し、南極の氷が溶けています。
氷上で暮らすペンギンは、敵から身を守ったり繁殖したりすることができなくなってしまいました。
▼ペンギンのエサの乱獲
南極海の海氷が溶けたことにより、漁船が南極の奥地まで入り込めるようになっています。
漁船がペンギンのエサである「ナンキョクオキアミ」を乱獲したことにより、ペンギンの食料が不足する事態となってしまいました。
▼人間による環境破壊
海洋汚染により、ペンギンのエサとなる魚も汚染物質を含むようになっています。
有害なエサを食べ続けたことにより、繁殖力の低下や幼鳥の生存率低下といったトラブルが現れるようになりました。
まとめ
ペンギンのキャラクターが至るところに存在する日本は、世界有数の「ペンギン好きの国民」です。 世界ペンギンの日をきっかけに、週末は水族館や動物園に足を運んでみてくださいね。 また地球温暖化や海洋汚染により、かわいいペンギンたちも大きなダメージを受けています。 世界ペンギンの日には、「ペンギンのために、私たちができること」についても考えてみてはいかがでしょうか。 文/カワサキカオリ