お悔やみ欄で知った「絶縁した親」の死去、すでに5カ月が経過 相続はどうなる?

写真はイメージです(beauty-box / PIXTA)

絶縁した父親が亡くなったが、相続はどうなりますかーー。

弁護士ドットコムにこんな相談が寄せられています。

相談者は、約20年前に家を出て就職し、結婚して新しい家族と生活しています。ある時、地元自治体の広報誌に載っていたお悔やみ欄で父親が5カ月前に亡くなっていたことを知りました。

「いきなり知ったため何から手をつければ良いのか分かりません」と困っています。こうした場合、遺産の相続はどうなるのでしょうか。山岸陽平弁護士に聞きました。

●遺産全体がマイナスかどうか調査して決めるべし

親が亡くなったことを後で知った場合でも、原則として相続する権利は残されています。

しかし、相続においては、財産と負債を取捨選択することはできませんので、負債がある場合、相続した人が返済する必要が出てきます。

親がどのような生活を送っていたか知らない場合はこの点に気をつけるべきです。遺産を全体として見てマイナスになっていないか、調査する必要があります。その上で、相続するか、相続放棄をするかを決めることになります。

相続放棄は、原則として相続があったことを知ってから3カ月のうちに家庭裁判所に申し出る必要があります。しかし、期間を延ばす方法もありますので弁護士に相談するといいでしょう。

●他の相続人がいるかどうかで違い

実はこの相談は、他に相続人がいるかいないかで動き方が大きく異なってきます。他に相続人がおり、その相続人が遺産の管理に関わっているケースでは、その相続人に遺産に関する情報を問い合わせ、情報収集していく必要があります。

他に兄弟姉妹などの相続人がいる場合、絶縁していたというだけでは法定相続分の割合自体には影響はありません。

しかし、同居するなどして親の生活を支えてきた兄弟姉妹については寄与分が認められ、多くの遺産が取得できる場合があります。

また、遺言が作成されていることもあり、近しい関係の相続人に有利な内容になっていた場合には、その遺言をそのまま受け入れる必要があるのか、弁護士と相談しながら決めていくとよいと思います。

【取材協力弁護士】
山岸 陽平(やまぎし・ようへい)弁護士
金沢弁護士会所属。2020年度金沢弁護士会副会長。富山県出身。京都大学法学部卒・京都大学法科大学院修了。地元石川県を中心として、相続、離婚、中小企業法務、インターネット関係のトラブルなど、身近な法律問題に粘り強く取り組んでいる。
事務所名:金沢法律事務所
事務所URL:https://www.bengokanazawa.jp/

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