2050年、県内28市町村消滅の恐れ-自治体、衝撃と危機感 

全体の8割となる28市町村が消滅可能性自治体に該当した本県。危機感が広がっている=24日、高畠町

 2050年に県内の28市町村が消滅する恐れがある―。民間組織「人口戦略会議」から示された厳しい数字に、県内の自治体には、衝撃とともに、改めて人口減少・流出への危機感が広がった。10年前の同様の発表では該当していなかった長井、山辺、高畠の3市町は今回、「消滅可能性自治体」となった。

 「残念で、重く受け止めなければならない」。長井市の内谷重治市長はそう語り、多様性を認め合うまちづくりなど、若い世代が住みたくなる、戻ってきたくなる施策を進める考えを示した。同じく、厳しい結果となった山辺町の安達春彦町長は、町の独自性を生かしたブランディングを行い、魅力発信や子育て支援策の充実などを通して、移住・定住人口の増加を目指すとし、「『選ばれるまち』になるよう強い信念を持って取り組む」と話した。

 高畠町では昨年度の出生数が初めて100人を割り込んだ。高梨忠博町長は「従前の施策では人口減に劇的な効果を生み出すことは難しい」と述べ、「小学校の再編を検討するなど、人口減少に合わせた対策も必要だ」と続けた。

 一方、本県では天童、南陽、三川の3市町が消滅可能性自治体から“脱却”した。天童市の山本信治市長は子育て施策の充実やニュータウン整備などで若い世代の転入が増えたと分析する。ただ、人口減に歯止めはかかっておらず「手放しでは喜べない」と語った。

 南陽市の白岩孝夫市長は多子世帯への経済的負担の軽減策などが奏功したと見ている。ただ「改善の実感は薄い」とも。さらなる子育て支援策の充実や未婚率の上昇を抑える手だての必要性を口にした。三川町の阿部誠町長は子育て世代の転入者が増え、出生率が維持できていることが今回の結果につながったと分析する。ただ町の総人口は減少傾向で「課題の解決にはつながっていない」と気を引き締める。

 10年前と比べて全国で消滅可能性自治体が減る中、本県は依然として8割と高い比率になっている。特に社会減の影響は大きく、県企画調整課の担当者は「若年女性の定着と回帰に力を入れていく必要がある」と強調し、市町村と連携し、実情に応じた対策に取り組むとしている。

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