【独自】異例の出来事「麻生トランプ会談」直前にトランプ氏が報道陣と立ち話 日本のメディアを意識しての行動か

ニューヨークのトランプタワーで23日、麻生氏とトランプ前大統領の会談が行われた。
トランプ前大統領は麻生氏を迎える直前、メディアと数分間雑談したが、トランプ前大統領が通常メディアと対立していることを考えると、非常に異例な行動だ。

トランプ前大統領「シンゾー愛」を語る

ニューヨークで23日、「麻生トランプ」会談が行われた。
トランプ前大統領が麻生氏をトランプタワーで迎える前に、記者団と数分間雑談をする中で、トランプ前大統領は「シンゾー愛」を語った。

大統領だった際に、日本を訪問したトランプ前大統領は、「日本は恋しいですか?」と尋ねられ、「日本は大好きですよ」と即答した。

そのうえで、2022年に殺害された安倍晋三元首相の名前を出し、「私はアベが大好きだ。彼は私が世界の中で一番好きだった人のうちの1人だよ。みんなも知っているでしょ?」と述べた。

麻生氏が到着してからも、安倍氏のことを「シンゾー」と呼び、偉大な人だったと称賛し続けていた。

ここからは、フジテレビ・立石修取材センター室長が解説する。

トランプ前大統領は、麻生氏との会談直前にFNNの記者を含むメディアにも声をかけてきた。
これまでトランプ前大統領は、メディアとの対立姿勢をアピールしてきたため、記者と立ち話をするというのは、極めて異例のことだ。

その立ち話と麻生氏との会談場所となったのは、トランプ前大統領の自宅であるトランプタワー。
住所は、ニューヨークの一等地である5番街で、高さ約200メートルの高層ビルで、トランプ前大統領をはじめ、セレブリティーが住んでいる。

かつては安倍元首相もここを訪問し、大統領就任前のトランプ前大統領と会談している。

ニューヨークのランドマークでもあるトランプタワーは、観光地になっている商業施設には一般市民も入れるのだが、トランプ前大統領などが暮らす住居につながる居住者用の入り口は、なかなか入ることができない。

だが今回、トランプ前大統領側から日米のメディア数社に許可が出て、フジテレビのニューヨーク支局長の弓削いく子記者が、居住者用の入り口に入ることを許可されたため、トランプタワーの中から麻生副総裁が入ってくるところを撮影できた。

撮影は許可されなかったが、トランプ前大統領側と数分間ほど立ち話をしたという。

トランプ前大統領は、一言目に「みんな元気かい?」と言い、この日は不倫口止め疑惑の公判があったのだが「裁判所ではいい1日だったよ」などと話していたという。

日本メディアに良い印象を残したい狙いも

トランプ前大統領は、裁判で人の話をずっと聞いているだけだったため、誰かと話したかったのではないだろうか。

そして、トランプ前大統領は、最近の円安進行について、「(円安は)日本の円にとって大きなアドバンテージだ」と話した。
つまり円安が日本にとって有利に働いていると持論を展開したうえで、バイデン大統領の為替対策を批判している。

これを受け、弓削記者が「日本には観光客がたくさん来ています」と話したところ、トランプ前大統領はテレビで見たのか、「みなさんのところに多くの観光客が来ているよね。きょう見たよ。信じられないくらい来ている」と話したという。

弓削記者は、これまでもイスラエル軍の軍事施設での取材や、アカデミー賞の取材など、硬軟取り混ぜたさまざまな取材を行ってきた。

だが、さすがに“元”とはいえ、大統領と外国メディアが、至近距離で直接会話をするのはめったにない機会だ。

弓削記者も、もちろんトランプ前大統領と直接話すのも初めてだったが「威圧的でもなくすごくフレンドリーだった」と話している。

ただ、その背景には、日本メディアに「良い印象を残したい」という狙いもあるのではと話していた。

われわれも、もしトランプ前大統領が大統領になったらと、「もしトラ」を想定するが、トランプ前大統領本人も「またオレが大統領になったら」を想定して、海外メディアに接しているかもしれない。

ただ、本人や陣営としては「もしも」ではなく、選挙の時点で自分が大統領だと信じており、そのため、「もしトラ」ではなく、絶対トランプ、「ぜっトラ」という前提で動いている。
(「イット!」 4月23日放送より)

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