デヴィッド・ギルモア、9年ぶりのニュー・アルバム『Luck and Strange』を発表

デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)が、2015年の『飛翔(Rattle That Lock)』以来9年ぶりとなるニュー・アルバム、『Luck and Strange』を9月6日(金)に発表します。新曲8曲と、英国のポップ・デュオ“モンゴルフィアー・ブラザーズ”の「ビトウィーン・トゥー・ポインツ」(1999年のアルバム『セヴンティーン・スターズ』に収録)のカヴァーからなる全9曲を収録。アルバムからの1stシングル「The Piper’s Call」が4月26日(金)に公開されます。

英ブライトンとロンドンで5ヵ月かけて制作したという新作をプロデュースしたのは、ギルモアとチャーリー・アンドリュー。ギルモアはALT-Jの作品におけるアンドリューのプロデュース・ワークに感銘を受け、インスタグラムでダイレクト・メッセージを送りました。「チャーリーを家に呼んだんだ。いくつかデモを聴いてくれて“ところでどうしてこんなところにギター・ソロがないといけないんでしょうか?”“全部フェード・アウト? いくつかはただ終わらせる訳にはいかないんでしょうか?”なんて言っていた。彼は僕がこれまでやってきたことに対して、素晴らしいくらい知識やリスペクトに欠けているんだ。とてもダイレクトで、まったくもって萎縮していない。そこが最高にいいんだ。僕にとってはとにかくとてもいい。ただ言われるがままというのだけは嫌だからね」とギルモアはアンドリューを絶賛しています。

アルバムの歌詞の大半は、この30年間デヴィッド・ギルモアとコラボレーションを行なってきた妻のポリー・サムソンが担当。ポリー・サムソンは『Luck and Strange』のテーマについて「年老いていく身の視点から書いたもの。死の必然性が絶えずありました」と語り、ギルモアも「僕たちはロックダウンの最中、そして、その後もその手のことを話し合ったり考えたりしながら、たくさんの時間を費やしたんだ」と付け加えています。また、サムソンはアンドリューと仕事をする経験によって自由になれたとも言っています。「彼は曲の内容を知りたがるし、その曲で演奏する全員が、歌詞の内容を演奏に反映させることを望み、それがとてもうまくいきました」。

レコーディングに参加したミュージシャンは、ベースのガイ・プラット(1987年以降ピンク・フロイドのレコーディングやツアーに参加)とトム・ハーバート、ドラムスのアダム・ベッツ、スティーヴ・ディスタニスラオ、キーボードのロブ・ジェントリーとロジャー・イーノ(ブライアン・イーノの弟)、ストリングスとコーラスのアレンジを行ったウィル・ガードナー、そして伝説的ドラマー、スティーヴ・ガッドも参加。タイトル曲「Luck and Strange」には今は亡きピンク・フロイドのキーボード奏者、リチャード・ライトもフィーチャーされており、2007年にデヴィッド・ギルモアの自宅にある納屋で行ったジャムの音源が使用されました。

また、録音にはロックダウン中にギルモアと家族が世界のオーディエンスに向けて行なったライヴ・ストリーミング「フォン・トラップト」から登場した者たちもいます。娘のロマニー・ギルモアは歌とハープを担当し、「Between Two Points」ではリード・ヴォーカルを担当。息子のガブリエル・ギルモアもバッキング・ヴォーカルで参加。また息子のチャーリー・ギルモアはアルバムの最終曲「Scattered」の作詞を担当し、アントン・コービンが撮影とデザインを手がけたアルバム・ジャケットのイメージはこの詞からインスピレーションを受けています。

新作で家族と仕事をしたことについて、ギルモアは「ポリーと僕は30年以上一緒に曲を書いてきたし、“フォン・トラップト”のライヴ・ストリーミングではロマニーの声やハープ・プレイの素晴らしい融合が見られた。僕たちはそれによって、僕がしがらみを感じていた過去の一部を捨て去って、それらのルールを投げうって、やりたいと感じるままにやろうという気になったんだ。実に楽しいよ」と語っています。

Photo by Anton Corbijn

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