バラモン凧作りの継承へ 五島の名人が市民らに指導 完成間近、5月の大会で披露 長崎

田端さん(左)からバラモン凧の作り方を学ぶ参加者=五島市池田町、市福江文化会館

 長崎県五島市伝統のバラモン凧(だこ)の作り方を受け継ごうと、「凧作り名人」の指導を受け、市民らが制作に取り組んでいる。「孫へプレゼント」「観光客がもっと増えて」「五島生活10周年」-。それぞれの思いが込められた個性豊かな凧の完成はもうすぐ。5月のイベントで披露される予定だ。
 五島バラモン凧揚げ振興会(川口進会長、22人)によると、バラモン凧を制作できる人は現在、市内で6人ほどしかいない。NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」に登場したバラモン凧に注目が集まり、あらためて後継者を育成しようと講習会を企画した。
 講師はドラマに凧を提供し、地元で「名人」と呼ばれる田端久世さん(86)。今月14日から毎週1回、22人の参加者が朝から夕方まで、みっちりと制作の基本を学んでいる。骨組みを作って和紙を張り、絵柄に色を付け、独特の音を発する「弓」と糸を付けて完成。5月3日に鬼岳で開催される「バラモン凧揚げ大会」で披露する。
 今月21日の講習会では、絵柄の色塗り作業が大詰めを迎えた。参加者は基本の絵柄を手本に、孫の名前や「ごとうにきなはれ」と観光客増を願うメッセージなどを書き入れた。赤、黄、青-。色とりどりの迫力ある作品が完成しつつある。
 参加した同市岐宿町の西平あかねさん(55)は「骨組みはとても複雑。組み上げるのは大変だった」と苦労した様子。三井楽町の医師、田中孝和さん(63)は「今年は試行錯誤だったが、次はもう少しうまく作れそう」と意欲を見せた。
 田端さんは「ドラマの影響でバラモン凧への注目が集まっている。多くの人に作り方を学んでもらい、五島の伝統を残していきたい」と話した。

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