新種のヒトデ“サザレスナヒトデ”を福島・いわき沖で発見…特徴はハサミのような棘?新種判明の経緯を聞いた

平たい体で星型のイメージがあるヒトデ。

そんなヒトデについて、福島・いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」がスナヒトデ属の新種を日本で104年ぶりに発見した。

そもそもスナヒトデ属は世界各地の熱帯~温帯の砂底に生息する。2021年3月に行われた福島県水産海洋研究センター、調査指導船「いわき丸」のトロール調査で、アクアマリンふくしまの職員が同船し、1個体のスナヒトデ属の未記載種を採集していた。

その後、東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所学術専門職員の小林格博士や国立科学博物館の藤田敏彦博士らの共同研究によって新種として公表された。

体の表面には多数のハサミのような棘

いわき市の沖合で見つかったことから、「いわきのスナヒトデ」を意味する学名が付けられ、日本語名は「サザレスナヒトデ」。スナヒトデ属は日本ではこれまで6種確認されており、今回、104年ぶりに新種が確認されたことになる。

サザレスナヒトデは腕が5本(採集個体は2本がなくなっていた)あり、体の表面には多数のハサミのような棘が不均一にあるのが特徴だ。現在、この個体は標本にして国立科学博物館に収蔵してあるという。

104年ぶりの発見というのには驚きだが、なぜこのヒトデが新種とわかったのか?また、今回の発見はどれくらいすごいことなのか? アクアマリンふくしまの飼育担当職員に詳しく話を聞いてみた。

貝類などを捕食する獰猛な種が多い

――スナヒトデ属の特徴は?

体色は砂泥色に近く、細長い腕をもちます。貝類などを捕食する獰猛な種が多いことで知られています。

――今回発見されたサザレスナヒトデはどんなヒトデ?

腕は5本。近縁種サガミスナヒトデとは異なり、体表にある多数のハサミのような棘(叉棘)が不均一に散在しているのが特徴です。

――いわき沖はヒトデがよくいる場所なの?

そういうわけではないと思います。専門性が高いが故に研究者の方の方が少ないのが現状かと思います。

良いタイミングでヒトデに精通する研究者と出会えた

――なぜこのヒトデが新種とわかった?

世界で本属は48種いますが、それらと形態学的に異なる点があり、また遺伝子解析でも同様の結果が示されたためです。

――今回の発見はどれくらい画期的なこと?

水深175mでは実際漁業がされている水深帯です。なので、気づかないだけで実はこのヒトデに会ったことがある方もいると思います。ただ、本属のヒトデが国内で発見されたのは104年ぶりです。今回の個体は、良いタイミングでヒトデに精通する研究者の方と出会えたことが、日の目をみることにつながりました。

――ヒトデの飼育は難しい?

ヒトデは環境などなじめないと、自切ですぐにボロボロになってしまう種類も多くいます。今回の個体も船の上にあがった時点ですでに腕が2本ありませんでした。採集条件も厳しいので、多数採集されないとなかなか飼育までたどり着くのが難しいと思います。

ヒトデは採集条件が厳しいとのこと。そうした中でヒトデの研究者にタイミングよく出会えた。こうした偶然が重なったことが新種の発見につながったようだ。

© FNNプライムオンライン