鹿児島県鹿屋市の中西茂市長が、墜落事故があった海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプターの同型機が写った記念切手について「事故後の写真で値打ちがあるのでは」と発言したことをめぐり、24日、長年基地と共存してきた市民からは「配慮がない」「残念だ」と憤りや批判の声が相次いだ。
インターネットニュースで市長発言を知ったという海上自衛隊鹿屋OB会の平田辰雄会長(80)=同市旭原町=は「事故に遭った隊員の親族が聞いたらどう思うのか、『けしからん』の一言につきる」と憤る。
元自衛官で市自衛隊家族会理事の白石和彰さん(67)=同市野里町=は「無神経で不謹慎だ」と語気を強めた。4月以降も海上自衛隊の大型無人機が同基地で試験運用される中での発言に、「市民と自衛隊は長年共存してきた歴史がある。基地のある町のトップの失言で、責任は重い」と語った。
市中でもあきれる声は多い。夕方に同市の繁華街付近を歩いていた、同市大姶良町の県職員相羽和幸さん(64)は「誰が聞いても違和感を覚えるのでは」と苦言を呈する。その上で「悪意がなかったとしても、こうした表現をしてしまったことが残念。真意を図りかねる」と困惑した。
同市議会の花牟礼薫議長は「市出身の隊員が行方がわからなくなっている情報もある中、あまりにも配慮に欠けた発言」と断じる。今後の議会の方針は「議会運営委員会などで対応を検討する」とした。