「消滅可能性」指摘、県内自治体が危機感 名指しに不満や怒りも 人口戦略会議の公表受け

 民間組織「人口戦略会議」が「消滅可能性自治体」を公表した24日、新たに名指しされた栃木県矢板市、益子町は危機感を募らせた。「深刻さは増した」と公表内容を受け止め、さらなる対策の必要性を痛感する。同じく新たに該当した市貝町は、同会議の報告に怒りや不満をあらわにした。2014年にも別の民間組織が報告した消滅可能性。引き続き指摘された自治体からは「現状として冷静に受け止める」との声も上がった。

 「非常に重く受け止めている」。矢板市の森島武芳(もりしまたけよし)市長はこの日、コメントを出した。市の人口減少の要因を、少子高齢化に加え、雇用と経済の減退が影響していると捉える。「女性の働く場所の確保についても、改めて取り組む必要性を感じた」と同会議の報告を受け止めた。

 益子町も危機感を強める。3歳児未満の保育料無償化に県内では先進的に取り組むなどしてきたが、「より対策をとっていかないといけない」(町総合政策課)と強調した。転入から転出を差し引いた社会動態の改善には手応えを感じており、婚活支援や女性の暮らしやすい地域づくりなどを、これまでの取り組みを検証しながら、検討していきたいとした。

 怒りの声も上がった。市貝町の入野正明(いりのまさあき)町長は「『消滅可能性自治体』という表現は全く不適切で、その評価も一方的なもの」と批判。「自治体が消滅することはあり得ず、町民も行政も幸せになろうと頑張っているのに、そんなことは言われたくない」と語気を強めた。

 14年と変わらず「消滅可能性」とされた那珂川町の担当者は「どうすれば町内に住民が残ってくれるのか」とショックを隠しきれない。子育て支援策を展開しており、効果の高い政策を行う必要性を感じている。

 一方、那珂川町と同様に引き続き指摘された那須烏山市や塩谷町は、冷静に受け止めている。塩谷町は町内の交流施設に移住や定住を相談できるセンターを設置、相談が寄せられているという。「体制は整いつつある。不断の取り組みを続ける」とした。

 那須烏山市も「(公表された報告を)事実として受け止めるしかない」。市として意識している持続可能なインフラ再構築や、地元に愛着を持ってもらうための取り組みを続けていくとした。

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