“イスタンブールの奇跡”から19年…キューウェル監督とクレスポ監督がアジアの頂点をかけて激突へ

“イスタンブールの奇跡”と称される2004-05シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝から約19年、かつて欧州最高峰のピッチに立った2人が監督としてAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝で対戦する。

24日に行われたACL準決勝セカンドレグの結果、横浜F・マリノスの決勝進出が確定した。ファーストレグを0-1で落とした横浜FMは、本拠地『横浜国際総合競技場』で30分までに3点をリード。しかし、35分にCKから1点を返されると、その直後にはボックス内でハンドの反則を犯した上島拓巳がレッドカードを提示され退場に。蔚山現代(韓国)に2点目を許し、2戦合計スコアは3-3となった。

数的不利となった横浜FMだったが、ここから驚異的な粘りを見せる。蔚山現代の猛攻を守護神ポープ・ウィリアムを中心とした守備で跳ね返し続けると、クロスバーやポストにも救われ、延長後半終了までゴールを許さず。迎えたPK戦では5人全員が成功し、ポープが蔚山現代の5人目のキックを見事にセーブ。雨中の死闘を制し、クラブ史上初めてACL決勝へ駒を進めた。

チームを率いるのはハリー・キューウェル監督。現役時代はリーズやリヴァプール、ガラタサライなどで活躍し、国際Aマッチ通算56キャップを誇るオーストラリア代表では17ゴールをマークした。かつて“オズの魔法使い”とも称された45歳は今シーズン開幕前に横浜FMの指揮官に就任し、試行錯誤を繰り返しながらも、チームをアジア制覇の一歩手前まで導いている。

決勝戦で激突するのはUAE(アラブ首長国連邦)の強豪アル・アイン。元アルゼンチン代表FWのエルナン・クレスポ監督率いるチームは、準々決勝でポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド擁するアル・ナスル、準決勝でブラジル代表FWネイマールが所属するアル・ヒラルを撃破。2003年以来2度目のアジア制覇に王手をかけた。

キューウェル監督とクレスポ監督は現役時代に5度対戦。そのうちの1試合が2004-05シーズンのCL決勝だ。この試合はクレスポ監督の2ゴールもあり、ミランが前半だけで3点のリードを奪うも、リヴァプールが後半の僅か6分間で試合を振り出しに戻し、延長戦を含めた120分間を3-3のタイスコアで終える。その後のPK戦を3-2で制したリヴァプールが、21年ぶりにビッグイヤーを掲げた。この時、キューウェル監督もリヴァプールの一員として先発出場を飾っている。

イスタンブールでの激闘から約19年、かつて同じ芝を踏んだキューウェル監督とクレスポ監督が、今度はアジアの頂点をかけて激突する。そして、勝敗が決するセカンドレグの開催日は5月25日。奇しくも“イスタンブーの奇跡”と同じ日付となっている。

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