「能登の酒を絶やすわけにはいかない」被災酒蔵に救いの手 福井県の酒蔵が輪島市の酒造り支援

シンフォニー吉田酒造の杜氏と一緒に酒米の状態を確認する白藤社長(右)=4月17日、福井県永平寺町

 能登半島地震で被災した石川県輪島市、能登町の酒蔵5社を支援しようと、全国の酒蔵19社が設備を提供して共同で酒造りを行うプロジェクトが始まっている。福井県内では、シンフォニー吉田酒造(福井県永平寺町吉峰、吉田由香里社長)で輪島市の酒蔵1社が今月に入り作業を開始。吉田社長は「震災で能登の酒を絶やすわけにはいかない」と話し、被災酒蔵の復興に向け尽力している。

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 「被災日本酒蔵共同醸造支援プロジェクト」は、石川県白山市の吉田酒造店がリーダーとなり、被災酒蔵の酒造りや再建に向けた資金を募るクラウドファンディングを1月末に開始。「酒造りが途絶えると、蔵を再建しても販路開拓は一からになる。銘柄存続のために流通を止めてはいけない」と呼びかける。24日時点で目標の100万円を大きく上回る約4千万円が集まっている。

 シンフォニー吉田酒造で酒造りを始めたのは白藤酒造店(輪島市)。地震で仕込み用タンクなどが破損したほか、木造2階建て住宅兼店舗は全壊。看板銘柄「奥能登の白菊」は石川や関東、関西などで広く親しまれているが、事業再開のめどは立っていない。

 クラウドファンディング(「被災日本酒蔵共同醸造支援プロジェクト」で検索)は28日まで。被災蔵の銘柄と支援蔵とのコラボ酒とのセットなどが返礼品として用意されている。その後の一般販売も検討している。  

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