青森県内の市町村、約9割が「消滅可能性」 35市町村、若年女性2050年に半数以下

 民間の有識者らでつくる「人口戦略会議」は24日、2020~50年の30年間で、子どもを産む中心世代の20~30代女性が半数以下に減るとの推計に基づいて試算した「将来、消滅の可能性がある」自治体の一覧を公表した。青森県では約9割に当たる35市町村が該当した。若年女性の減少率が最も高かったのは外ケ浜町の87.5%。市部ではつがる市の66.0%が最高だった。

 前回14年の同様の調査で消滅可能性が指摘されていなかった藤崎町、六ケ所村が新たに該当した一方、西目屋村、田舎館村が脱却した。

 同会議の副議長を務める増田寛也・日本郵政社長は東京都内での記者会見で、都市部への人口一極集中が解消されなければ「短期的には地方の人手不足を招き、生活インフラの機能がそがれるだろう。中期的には、若年層が高齢者を支えきれず、社会保障制度そのものが崩壊しかねない」と危機感を強調した。

 今回の試算は、国立社会保障・人口問題研究所が23年12月に公表した地域別将来推計人口を基に分析した。

 それによると、県内では三沢、西目屋、田舎館、六戸、おいらせの5市町村を除く35市町村で、若年女性の減少率が50%を超えた。4町村は前回14年調査時より減少率が10ポイント以上悪化している。

 減少率は津軽、下北地方で特に高く、外ケ浜をはじめ、今別86.0%、佐井85.2%、深浦80.1%と4町村で80%以上となった。市部はつがるに次いで黒石64.3%、五所川原63.6%など。県庁所在地の青森市は52.7%だった。

 一方、減少率が最も低かったのは六戸町の37.2%だった。

 50年時点の総人口は29町村で1万人を切る見通し。中でも若年女性が100人未満となるのは、今別、佐井(いずれも13人)など10町村に上った。

 増田氏は「今後は、自治体間の機能分担や連携に加え、県が市町村の機能をカバーすることがさらに必要になる」との展望を示した。

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人口戦略会議 人口減少対策を提言するため、2023年7月に発足した民間の任意団体。経済界や労働界の有志、研究者らで構成し、議長は三村明夫日本製鉄名誉会長、副議長は増田寛也日本郵政社長が務める。今年1月に「人口ビジョン2100」を岸田文雄首相に提出し、2100年に日本の総人口を8千万人で安定させると目標設定した上で、内閣に司令塔となる「人口戦略推進本部(仮称)」を設置するよう求めた。

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