六ケ所村漁協で定置網漁に取り組むメンバーとして4月までに、他業種から転身した10代と、インドネシア出身の20代が加わった。漁業の担い手確保が課題となる中、人材の多様化が漁師の職場で進んでいる。
おいらせ町の長谷部唯音(ゆいと)さん(19)は、交流サイト(SNS)の「インスタグラム」経由で、2023年12月から漁師の道に入った。前職は建設業。別の仕事を探していた際、同漁協の日常や漁の過程を紹介するアカウントを家族に教わり「面白そう」と思ったのがきっかけの一つだった。
身近に漁師はおらず、高校卒業時は進路の選択肢になかった。SNSでのやりとりや漁の体験で仕事の内容を知り、その厳しさも伝えられていたが「やってみたいという気持ちが強かった」という。
漁に出て未知の経験を重ね「毎日やりがいしかない。取った魚をおいしいと言ってくれる人がいるのを想像すると楽しくて、モチベーションにつながっている」。将来は、漁師だから分かる魚のおいしさを伝えられる居酒屋を経営できたら-と夢を描く。
インドネシア出身のアルフィヤン・アブドゥルフマン・ウズキ・マシュディさん(29)は今年4月から、在留資格「特定技能」で働く。巻き網漁に従事した経験を生かし「早く仕事を覚えたい」と意気込む。
同漁協での外国人の受け入れは初めてで、食事など文化の違いに配慮した対応を進める。ウズキさんは「ここで皆さんと働いて話すのは楽しい」と話す。
担い手不足は全県的な課題となっており、国の漁業センサスによると、18年の海面漁業就業者数は8395人で、10年前に比べ26.8%減少した。
長谷部さんが見たアカウントは、同漁協の乗組員・橋本翔さん(41)が代表取締役を務め、鮮魚販売などを手がける「尾駮鮮魚団」のもの。後継者不足に対する危機感から、漁業の魅力紹介も活動の一つとしている橋本さんは「異業種の人も仕事を覚えていける環境づくりをわれわれの世代がやっていかないと」と語る。