三ケ木青年会 大正時代からの伝統行事「村芝居」5年ぶりに上演へ 相模原市緑区

本番を直前に控え稽古に熱が入る青年会のメンバー

大正時代から津久井中央地区に受け継がれる村芝居の上演会が4月29日(月・祝)、地区の春祭り敬老会で開催される。上演は5年ぶりで、村芝居を手掛ける三ケ木青年会の岩田重治会長は「コロナが明けて初めての上演。楽しみにしてくれている高齢者もいるので、力を合わせて良い舞台にしたい」と意気込む。

村芝居は大正時代から続く地区の伝統行事・春祭り敬老会で披露されてきた。太平洋戦争前後の1941〜45年を除き、毎年上演されてきたという。しかし、2019年を最後に、新型コロナウイルス感染症の流行に合わせて再び中止を余儀なくされた。昨年は春祭り敬老会は開催されたものの、コロナ禍で準備ができず村芝居は中止に。5年ぶりの上演となる。

「楽しませたい」

村芝居を上演するのは地域の40〜50代の男性を中心に約20人で組織される三ケ木青年会。地域の高齢者に日頃の感謝を伝え、楽しませたいと村芝居をやり始めたという。40年程前までは、劇団を呼び演技指導を受け、衣装を借りて上演してきたが、出演料が高額だったこともあり、当時のメンバーが「自分たちで台本を作ってやろう」と一念発起。それからは脚本、演出、振付、小道具の製作、衣装の調達、音響に至るまで自分たちの手で作り上げてきた。

例年3月上旬から稽古が始まり舞台を仕上げていくが、今年は5年ぶりということもあり、「最初はぎこちない感じがあった。徐々に感覚を取り戻していった」と岩田会長は振り返る。

今回上演するのは「道志川恋しぐれ」。この脚本は20年に上演予定だった作品で、コロナ禍で一度お蔵入りしてしまったもの。脚本の中には地元の地名や店名などが随所に登場し、笑えて泣けるストーリーに仕上がっている。

これまでに毎週火曜、金曜の午後8時から2時間程度の稽古を続けてきたメンバー。本番が10日後に迫った4月19日には通しで稽古が行われ、全体の流れや立ち位置などを確認した。

さらに、演技についても「悪者なんだからもっと悪い言葉で話せ」「手を使って大げさに」「大きい声じゃないと聞こえないぞ」「もっと役になりきって」とげきを飛ばし合って芝居を高めていった。稽古を終え岩田会長は「それぞれ仕事を持ったメンバーが集まって真剣に取り組んでいる。これからも地域の仲間を増やして次の世代に受け継いでいけたら」と話す。

地区外の方も観覧可能

村芝居が上演される津久井中央地区春祭り敬老会は、午後1時から三ケ木クラブ(三ケ木932/津久井中央保育園隣)で開催。民生委員の協力を得て、地域に住む75歳以上の高齢者には招待状を配布したという。当日は地区外に住む人も観覧できる(無料)。

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