アメリカ「TikTok禁止法」バイデン大統領署名で成立 世界で“使用制限”される動きに中国CEO猛反発

アメリカで約1億7千万人が利用している動画投稿アプリ「TikTok」を巡り、大きな動きがありました。4月24日バイデン大統領が署名、成立したのは「TikTok禁止法」です。

法案は、議会下院で4月20日に可決されたあと、23日に上院でも可決。バイデン大統領のサインにより、成立となりました。

この法律は、TikTokを運営する中国企業「バイトダンス」に対し、1年以内にアメリカでの事業を中国以外の企業に売却しなければ、全米でアプリの利用を禁止するというもの。

かねてからアメリカ国内では、中国政府の情報収集や世論操作に利用される可能性があることから、「TikTokが安全保障上の脅威だ」との懸念が強まっていました。

これに対し、TikTokのCEOショウ・ジ・チュウ氏は禁止法案が成立した直後、反発する動画をTikTokに投稿。戦う姿勢を表明しました。

「法律は違憲…」TikTokのCEOが猛反発

TikTokのCEOショウ・ジ・チュウ氏:
アメリカの議会は、大統領が署名した法律を通過させました。これにより、アメリカ合衆国でTikTokを禁止することになります。

TikTokのCEOショウ・ジ・チュウ氏:
これは、プラットフォームでコミュニティとつながっている1億7000万人のアメリカ人とあなたから、TikTokを奪うことになります。

TikTok側は、法律は「違憲」であるとして、法廷で争う姿勢を示しました。

TikTokのCEOショウ・ジ・チュウ氏:
TikTokで生計を立てている700 万人の事業主もいます。
私たちが裁判所で闘う間、いつものようにTikTokを楽しむことができます。

その上で、TikTokがいかに人生に影響を与えているか共有してほしいと、協力を呼びかけています。

また、「めざまし8」の取材に対し、バイデン大統領への怒りの声を上げたのは、アメリカでティックトッカーとして活動しているシラさん。

「バイデンは操り人形」米で活動しているティクトッカーの怒り

アメリカでティックトッカーとして活動しているウクライナ出身シラさん:
バイデンは嫌い。彼は他の人が決めたことにサインするだけの操り人形です

シラさんは、アメリカで受けた、カルチャーショックの動画などを投稿しています。

これが人気のコンテンツとなり、年間約3万ドル。日本円で約450万円の収益があるといいます。もし、TikTokが禁止されたら、どうなるのでしょうか?

ティックトッカー ウクライナ出身シラさん:
一番大きな収入源がなくなってしまうので、家賃も払えなくなってしまうわ…。

こうした動きは、アメリカ以外の国にも広がっていくのでしょうか?

日本では2023年2月、当時の松野官房長官が政府の見解を述べています。

松野博一元官房長官:
我が国においては政府端末で、要機密情報を取り扱う場合は、基準によりTikTokをはじめとするSNSなど外部サービスを利用することはできません。
あわせて広報に利用するなど、要機密情報を取り扱わない場合であっても、様々なリスクを充分踏まえた上で、利用の可否を判断することとしています。

今後、日本の一般ユーザーへの影響はあるのでしょうか?

めざまし8コメンテーターの社会学者・古市憲寿氏は、今回のアメリカのTikTok禁止法成立について、「自由の敗北」だと話します。

古市憲寿氏:
政府とか機密情報を持っている人の規制だったらわかるんですけど、一般の人を含めての規制は、僕は反対です。日本でも当然規制するべきでもないし、アメリカでも規制するべきではなかったと思う。それって自由の敗北だと思うんですよね。
アメリカって、一応建前では自由の国で、色んなことを自由にやってこその中で、プラットホームごと締め出すってことは、アメリカが中国のようになるっていう…。
中国って元々SNSとかを締め出してきましたが、アメリカが自ら中国のような国になってしまったなって、すごく残念に思います。

古市憲寿氏:
(日本って)SNS含めて国産の物がほとんどなくなって、結局アメリカか中国かみたいな形のところに乗っかってるだけ。自分の国で世界的にヒットするプラットホームを生み出せなかった。結局中国に抜かれるか、アメリカに抜かれるかみたいな話で、日本でプラットホームを作れなかったということが、ある種日本の敗北だなと思います。
(「めざまし8」4月25日放送より)

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