「彼の不在は他の誰とも違うレベルで痛恨だった」三笘薫という翼をもがれたブライトンのダメージの大きさを現地メディアが強調…「ポッター時代に逆戻り」

プレミアリーグで32試合を消化した時点で10位のブライトン。直近の4試合は未勝利(2分け2敗)、そして得点はわずかに2と、持ち味を全く出せないまま苦しんでいる。

今季はクラブ史上初となる欧州カップ戦(ヨーロッパリーグ)出場を果たした記念のシーズンとなったが、これによるハードスケジュールの影響に加え、主力選手の度重なる負傷離脱がロベルト・デ・ゼルビ監督のプランを完全に狂わせることとなってしまった。

怪我人リストの中に名を連ねている選手の中には、腰の負傷で25節シェフィールド・ユナイテッド戦を最後に戦線離脱し、あまりにも早くシーズンを終えることを余儀なくされた三笘薫の名前も含まれている。
今季はアジアカップ出場もあってブライトンでのプレーは公式戦26試合に止まり、3得点・6アシストという結果を残したウインガーだが、その数字以上にチームの攻撃に大きな貢献を果たしていたことは明らかで、これが失われた「シーガルズ」はまさしく翼をもがれた状態である。

ブライトンの地元紙『The Argus』は、デ・ゼルビ監督のチームがシーズンを力強く終えるために、以前のような得点力を取り戻すべく取り組んでいることを伝えたが、その中で「とはいえイタリア人指揮官は、三笘によるサイドでのプレーを欠いていることや、フリオ・エンシソがベストの状態に戻るにはまだ時間が必要であることを隠していない」と指摘し、日本人アタッカーの不在による影響の大きさを改めて強調した。

一方、ブライトンのクラブ専門サイト『WE ARE BRIGHTON.COM』は、「三笘の負傷離脱以降、ブライトンの彼への依存が明らかになった」と題した記事において、「彼の不在は他の誰とも違うレベルで痛恨だった。川崎フロンターレからわずか250万ポンド(約5億円)で三笘を獲得したことは、ブライトンが行なった移籍取引の中で最高のもののひとつとすでに考えられているが、我々は今、彼の真の価値とチームにとっての重要性を改めて理解した」と綴っている。 また同メディアは、「三笘がアジアカップのためにチームを離脱するまで、ブライトンは勝点27を記録し、1試合あたりの平均勝点は1.5だった。しかしそれ以降、『アルビオン』が獲得した勝点は17(1試合平均1.2)に減少。また、三笘がいた時にチームは35ゴールを挙げ、1試合平均では1.8得点を記録。対して、不在時の1試合平均得点はわずか0.86だ」と、三笘の重要性を具体的な数字で示した。

また、「三笘の負傷を証明するのは数字だけではない」として、「彼がいないと、ブライトンは横パスが続く。パスで相手の守備を突破できない時、チームはアイデアを欠いているように見える。三笘が引き起こすような“絶望”を相手に与えることはない。ブライトンは前任監督のグレアム・ポッターの時代に逆戻りしている。デ・ゼルビのスタイルの成功と最も強く結びついている選手は、三笘以外の誰でもない」と訴えている。

そして、この日本代表選手の去就にも言及し、「この数か月に起こったことは、今後、クラブが三笘を売却した場合に起こりうることを示す警告である」と指摘し、「アレクシス・マク・アリステル(現リバプール)とモイセス・カイセド(チェルシー)の代わりを他の選手が務めるのは難しいことが判明したが、今季の状況を見ると、『日本の新幹線』についても同様だ」と、三笘が替えの利かない存在であることを強調した。
アメリカのスポーツ専門サイト『The Athletic』は、移籍市場における三笘の動向について、「もし彼がシーズンを通して健康であり、調子を維持していたら、大型移籍の可能性があったが、負傷以降、その去就に関する話題は少なくなっている。今後、再び移籍に向けての動きが加速する可能性は低いだろう」と、今夏の動きには否定的な見解を示している。

いずれにせよ、ブライトンにおける三笘の重要性や価値がますます高まっていることが、これらの記事からも窺える。復帰時期はまだ明らかになっていないが、再びピッチ上でチームの攻撃を形作り、牽引する左ウインガーが主役の座を取り戻す日を、期待を持って待ちたい。

構成●THE DIGEST編集部

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