子育て世代、年間貯金額は「わからない」が約2割で最多!“夫婦別財布”の家計事情にFPが警鐘

引用元:marchmeena29/gettyimages

「たまひよ」アプリユーザーに「あなたの家庭の年間貯蓄額はどのくらいですか?」と、質問。驚くことに「わからない」が約2割でトップに。さらに50万円以下は3割以上という厳しい状況がわかりました。ライフスタイルアドバイザーで1級FP技能士の前田菜穂子さんに聞きました。

4歳から始めるおこづかい。「娘は2歳から始めました」というFPが、子どもが成長する金銭教育を教えます!【前編】

Q:あなたの家庭の年間貯蓄額はどのくらいですか?一番あてはまるものをお選びください

10万円未満 9%
10~30万円未満 12%
30~50万円未満 11%
50~100万円未満 15%
100~150万円未満 13%
150~200万円未満 6%
200万円以上 8%
わからない 20%
貯蓄はしていない 5%
その他 1%

結果は僅差でバラけましたが、驚くことに「わからない」が20%でトップに。
年間貯蓄額50万円未満は合計37%。100万円以上の合計27%を上回りました。

妊娠中や出産後はなにかとお金がかかり、産休・育休中の場合も貯金が難しい時期とは言えますが、なかなか厳しい数字が浮き彫りになりました。
それぞれのコメントを紹介します。

夫にまかせている、それぞれで貯蓄、として夫婦別財布が多い「わからない」派

「夫婦別財布です。生活費は私の給料+夫に貰う決まった金額でやりくりし、貯蓄は夫に任せています」(うたまる)

「共通の貯蓄はお互いにそれぞれ5万円。そのほかはそれぞれが貯蓄しています」(さなま)

「夫任せなので不明」(たき)

「毎月3万円をNISAで積み立て。他は特に決めてないです」(ari)

「今まで全くしてなかったので、娘のために学資保険に入りました」(ぱも)

なんとなーく、として計画性のない「年間貯金額50万円以下」派

「特に計画的にはしていません」(かすみ/10万円未満)

「妊娠を機に貯蓄を始めることにしました。食費の見直しをして、お酒、タバコ、嗜好品を減らして、その分を貯金に回しています」(時間もお金もあって健康で幸せで夢を叶え続ける自由人/10万円未満)

「残ったら貯金、としていますが、月によって出費が変動してうまくできていません」(ちょびひげパン/10~30万円未満)

「生活費の予算設定はしていますが、貯蓄の計画はしていません。以前、キツキツに計画して大喧嘩になりました。無理のない範囲で生活し、余った分のみ貯蓄に回しています」(お米/10~30万円未満)

「貯金というより、赤字にならないようにしています」(ぱじゃこ/30~50万円未満)

約9割が妻も正社員。安定した世帯収入で投資も活発な「年間100万円以上」派

「毎月積立NISA。食費は予算を決めて、超えないように調整しています。昼ごはんは買わずにお弁当に」(めっそん/100~150万円)

「ボーナスは9割貯蓄、毎月NISAにも一定額を先取り投資しています」(つっきー/100~150万円未満)

「ボーナスをなるべく貯金。夫の給料の半分は貯金して、私のお金で毎月やりくりしています」(わっきー/150~200万円未満)

「月10万円ほどは老後に返ってくる生命保険で計画的に。さらに生活費で余った分を貯蓄しています」(り/150万円~200万未満)

「計画的ではありませんが、年間の収入>支出になるように年間の支出額は出してあります。お金のかかる趣味をしない、住宅ローン以外のローンなし(車など)、酒・タバコなしのため、自動的に貯まります」(つなまよ/200万円以上)

「とくにルールは決めていませんが、iDeCo、NISAは満額。生活費だけ把握して、残りは貯蓄に回しています」(まさかり/200万円以上)

「毎月の貯蓄は積立NISA、iDeCoに6万円、引き出し自由な口座に5~6万円先取り貯蓄しています。ボーナスは全額貯蓄に回しています」(るみ/200万円以上)

「毎月夫婦で各2万ずつ積立投資。余剰分(夫婦で各1万~8万円程)を積立預金にしています」(ゆう/200万円以上)

年間貯蓄100万円以上のコメントではiDeCo、NISAなどの言葉が頻繁に出てきました。また「妻は正社員」が約9割で、世帯収入が安定しているせいか、「ボーナスをほぼ貯金」というコメントも多くありました。
そして何より世帯収入が透明化され「夫婦での話し合いがしっかりできている」という印象です。

「3割の方はNISAやiDeco等、税制優遇を利用しながら年間100万円、200万円というハイペースで資産形成を進めています。すばらしい!」と、ライフスタイルアドバイザーで1級FP技能士の前田菜穂子さん。「ぜひ我が家もそれに続きたい」と奮い立った方へのアドバイスを伝授します!

「貯蓄が少ない、わからないという方は、"3ステップ”から始めましょう」と、前田先生

「なかなか貯金ができないイラだちから『また無駄遣いして』と言ったり、言われたりしませんか?
夫婦関係をジワジワ悪化させるこのひと言は『不公平感』や『一方的な負担感』から出てきます。家計管理はどちらか一方の担当だったり、別財布だったり、お互いの資産状況がわからない家庭で多く発生しています。

ピリピリした状況を切り抜ける秘策は『年に1度の財産棚卸』と『作戦会議』です。

<ステップ1>預貯金・有価証券・貯蓄性のある保険等、家族全員分集め「今、何円あるのか」奨学金やローンなど「返すべきお金があと何円あるのか」調べる。<ステップ2>昨年の同時期と金額を比較、増減を把握する。<ステップ3>今後の支出を予想し、貯蓄額を相談して決める。

タイミングは年末、年度末、結婚記念日、子どもの誕生日等、どの節目でもよいのですが毎年同じ時期に行ってください。
全財産がわかれば「もっと節約すべきか」「まだ使っても大丈夫か」を冷静に判断でき、家族で数値目標を共有して確実にコントロールできます。
「苦しいな・少ないな」という状況だったとしても、楽しい話も忘れずに。ギチギチな計画は続きません。余裕資金を作って「マイホーム」「旅行」「豪華な食事」「趣味の道具」など手に入れられる前向きな計画を立てましょう。

夫婦で計画がかみ合わない、お金の話をすると不穏な空気になるという場合は、ファイナンシャル・プランナーの“ライフプラン相談”や“教育資金相談”を利用するというのも一策です。現実的な金銭面と家族のライフスタイルの希望をリンクさせて整理し、着地点を探してもらえます。他人を前にすれば喧嘩にもならない……はず?!(笑)

皆さん今は日々の子育てに追われて、お金の計画は後回しになりがちですよね。
でもこのアンケートでもわかる通り、3割の方はNISAやiDeco等、税制優遇を利用しながら年間100万円、200万円というハイペースで資産形成を進めています。我が家もそれに続きたい!という方は、すぐにでもパートナーとの情報共有と意思の統一をしましょう。頑張ってください」

前田菜穂子

profile)
みつめFP事務所代表で、1級FP技能士(国家資格)、CFP®(日本FP協会)、育勉®インストラクター、日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー(平成29年10月~令和7年9月)FPmamaFriendsおこづかい教室認定講師。猛烈に働いた13年間の会社員生活での挫折や長く続いた不妊治療経験など、人生の壁にぶつかったことをきっかけに、金融業界未経験ながら5年間猛勉強してFPの資格を取得。“今より幸せで円満な家庭づくりのお手伝い”をモットーとし、娘として、妻として、母として、そして専門家として広い視野をもち、親子や夫婦でも話題にしづらい「お金のハナシ」に向き合うきっかけを提供しています。プライベートでは一児の母。

みつめFP事務所「みつめfp.com」

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文/和兎 尊美

※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2023年11月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数325人)
※記事の内容は2024年1月の情報で、現在と異なる場合があります。

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