利休の思想あふれる茶室 福島県会津若松市 横浜から移住の遠藤博さん整備

本格的な茶室を多くの人に利用してほしいと話す遠藤さん

 福島県会津若松市日新町に、千利休の思想を受け継ぐ風情ある茶室が誕生した。施主は同市本町に住む遠藤博さん(71)で、ばんだい東洋建設(本社・同市)が手がけた。市街地は七日町通りを中心に、会津領主で茶人でもあった蒲生氏郷にちなむ茶の湯のまちづくりが進む。遠藤さんと同社社長の相原清司さん(72)は「街中を回遊する拠点の一つになればうれしい」と話している。

 遠藤さんは横浜市出身で元公務員。NHK大河ドラマ「八重の桜」を見て会津の伝統や歴史、人の魅力に引かれ、横浜市から移住した。「地域のために何か役に立ちたい」と土地を購入。茶室を計画し、相原さんが実現に協力した。

 茶室の間取りは、現存する日本最古の茶室建築物で、千利休が手がけたとされる京都府の「待庵」を模した。広さは二畳で、素朴な作りが特徴だ。竹や木材、へぎ板などは京都から取り寄せた。

 敷地の広さは約500平方メートル。茶室の回りには水辺を備え、鮫川の川石を配置した。一角には日本庭園の枯山水も表現した。植木や石は、相原さんが提供した。

 現在は会津若松ザベリオ学園中・高の生徒らが茶道の練習などで活用している。今後は市民への開放や、茶の湯イベントでの利用などを想定している。遠藤さんと相原さんは「会津の振興のために、活用してほしい」と話している。

(会津版)

街中の一角にたたずむ茶室

© 株式会社福島民報社