伊佐須美神社太々神楽に新人舞者 福島県会津美里町の大木稔章さん 「本番までしっかり練習」

本番に向け練習に熱が入る保存会員

 福島県会津美里町の伊佐須美神社で29日、町無形民俗文化財の太々神楽が奉納される。高齢化などで伝統芸能の継承が難しくなっている地域もある中、太々神楽の保存会に今年は新たなメンバーが加わった。本番に向け、熱の入った練習が行われている。

 「いいよ」「(笛と太鼓の)音に合ってる」―。太々神楽保存会のベテラン楽人が一人の男性の動作を厳しい目つきで見つめ、最後に褒めの言葉を発した。

 町内在住の大木稔章(としふみ)さん(40)だ。今年、舞者としてデビューする。基本的な動きが詰まっているといわれる「清めの舞」に挑戦する。動画などを見て、基本的な脚の動きを念入りに確認している。「本番までしっかり練習を積んで、楽しみながら踊りたい」と意気込んでいる。

 太々神楽は神話にある所作を舞う出雲系神楽。舞は全部で15座あり、本番では清めの舞のほか、「弓舞」「扇舞」「農耕の舞」「軍神舞」「太平楽」の6座を奉納する。

 保存会員の平均年齢は70歳代と高齢化が進み、近年は会員が少しずつ減っている状況という。楽長の服部昇さんは「伝統を継承していくには新たな担い手が必要になる」と話し、後継者の誕生を喜ぶ。

 太々神楽は今年から伊佐須美神社の楼門に舞台を変更し、午前9時30分と午後1時からの2回開演することにした。同日は、神社の御神木で、会津五桜の一つに数えられる薄墨桜の花びらを入れた餅を振る舞う特殊な祭典「花祝祭」が催される。

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