【レビュー】豆乳も使える『ヨーグルトメーカー IYM-016-W』で楽しいヨーグルト作り!【アイリスオーヤマ】

【一部情報訂正あり】低温調理家電の一種、ヨーグルトメーカー。市販の牛乳などを使い、好きな製品をタネにして自作ヨーグルトを作ることができる機器だ。今回はヘルシーな植物性原料をもとに、『ヨーグルトメーカー IYM-016-W』で自作ヨーグルトづくりにチャレンジしてみた。

マンガ「江戸前エルフ」のエルダが使っていたアイリスオーヤマ『ヨーグルトメーカー IYM-016-W』!

「江戸前エルフ」(作:樋口彰彦)という引きこもりのエルフ、エルダが出てくる漫画があります。東京都中央区月島の高耳神社の御神体 高耳毘売命(タカミミヒメノミコト)は、徳川家康に異世界から召喚されたエルフだったと言うお話です。 美人のエルフが江戸、東京と見守ってくれるのはうれしいのですが、彼女は異人でもあり、外に出ず引きこもってしまいます。そう性格は人見知り、重度の「オタク」なのです。当然、家電にも詳しい。 そんな彼女が使っているヨーグルトメーカーが、今回レポートするアイリスオーヤマ『ヨーグルトメーカー IYM-016-W』(実勢価格 税込5,980円・ 2023年8月31日発売)。漫画にも出てくるこのヨーグルトメーカーどこがすごいのでしょうか?

楽しいヨーグルト作り。しかし、その前に心しておくべきこと

ヨーグルトメーカーは、低温調理家電の一種です。低温調理では、普通の調理家電のように、食中毒を起こす細菌を死滅させる温度まで上げません。それどころか、温度だけからいうと、細菌が増殖し易い温度で調理しますので、衛生には十分な対応が必要です。 当然、ヨーグルトメーカーで使用する容器、用具は細菌が付かないように徹底しなければなりません。ヨーグルトメーカーでは、一般的に、牛乳、豆乳の容器が使えるように設計してありますが、それはゴミを減らすのが最大の目的ではなく、雑菌混入による食中毒の可能性を少しでも減らすためです。

1Lの牛乳パック、1Lの豆乳パックも楽々入れられる。

容器、用具の使用に関しては「熱湯消毒」がマスト。80℃以上の熱湯を、10秒以上かける方法だ。熱による消毒はこれ以外に、「煮沸(しゃふつ)消毒」があるが、それは材質的に持たない。取扱説明書にも書かれている。 個人的にだが、熱湯消毒で一番使いやすいのは、小さなタライだ。タライに沸騰したお湯を注ぎ、数分待つのが今のところ一番楽である。

熱湯消毒すべき付属品(一部)。このうちスプーン(すり切り25g)、測るにも混ぜるにも重宝する

消毒のポイントは使う部分を必ず熱湯に浸すこと。このため1Lの付属容器を使う場合は、お湯は1.2Lくらい必要。電気ケトルでは足らないことが多い。 大きめのヤカンか、ティファールの電気ケトル「テイエール ロック コントロール」(容量:1.5L)のように、大容量のものを使うしかない。ただし電気ケトルの場合、容量が大きいモデルは、最低湯沸し量も上がる。『テイエール ロック コントロール 1.5L』で500ml。ちょっとだけ使うということができない。まずはヤカンで試す方がベターだ。

ただし、付属容器ではなく、牛乳容器、豆乳容器でヨーグルトを作る場合は、これを省ける。種をとるスプーンと混ぜ棒だけ、熱湯消毒すればよい。 これらをきちんとできないなら、ヨーグルトメーカーを使わない方が良い。食中毒で七転八倒するのは自業自得としても、それで終わらず病気を併発する可能性もあるし、何より楽しいはずの調理が、悪い思い出になってしまうからだ。

「豆乳」が楽に使える「ヨーグルトメーカー IYM-016」

今回レポートする「ヨーグルトメーカー IYM-016」の特徴の一つに「豆乳」が楽に使えることが挙げられます。この意味は、豆乳パックがそのままセットできること。そして自動メニューに「豆乳ヨーグルト」のメニューがあると言うことです。 令和6年の春は、円安の上、戦争による食糧事情(含家畜の餌)を考慮すると、牛乳の価格が下がることは余り期待できません。 日本人は、魚もよく食べますが、畑の肉と呼ばれる「大豆」もよく食べてきました。典型例が「豆腐」と「納豆」。中でも豆腐は、豆乳をにがりで固めた食材で、豆乳ヨーグルトに似てなくもありません。このためでしょうか、色々なヨーグルトメーカーが、植物由来の食材にアプローチを始めています。 今回のタネは、「雪印メグミルク 恵 megumi 植物生まれ」を使ってみることにしました。

「雪印メグミルク 恵 megumi 植物生まれ」をタネに使う!

ベースが植物由来なので、パッケージはグリーン系

使われているのは「ガセリ菌SP株」と「ビフィズス菌SP株」。乳酸菌ではないが、双方ともに腸内フローラルの善玉菌の代表格。牛乳べースの「恵」でも、使われており、実績もあります。 タンパク質はエンドウ豆を使用した「プラントベース」。食べるといい感じの豆の香りがします。豆乳もそうですが、ミルク系のような甘さはありません。が、豆の香りに押され、食べやすい。というより、結構いけます。 これに対しベースには、キッコーマンの「おいしい無調整豆乳」同「調整豆乳」。加えて今回は ふくれんの「ソイラテ」を試してみました。最後がキッコーマンでないのは、近くのスーパーマーケットになかったから。深い意味はありません。

キッコーマンの「おいしい無調整豆乳」ベースをあまりおすすめしない理由

ていねいに熱湯洗浄した容器に無調整豆乳:900ml流し込み、タネを100g追加。自動メニュー「7」豆乳ヨーグルトを使用。条件としては39℃、9時間加熱です。 9時間後、見てビックリしました。と言うより、ビビりました。ヨーグルトの表面がピンク。正直、熱湯消毒後、ヘマやって細菌を付着させ、繁殖させたかと思いました。

しかし、その他の面はピンクではありません。また、香りを嗅いでも嫌なニオイはしません。私の知らない特殊な現象かも知れません。 そこでネット検索してみると、老舗のヨーグルトメーカーである「タニカ電器」の公式オンラインストア「すばる屋」のQ&Aに次のように書かれていました。 「Q 豆乳ヨーグルトの表面がピンク色になるのですが…?」 「A 豆乳の成分(アントシアニン)が表面に浮いているものですので、そのままお召し上がりいただいても問題がありません。 いやなにおいがしたり内部まで変色している場合は、雑菌が繁殖している場合がありますので、お召し上がりにならずに廃棄してください」 どうやら問題なさそうなことがわかり、食べてみました。豆乳と同じように豆らしい味だが、固形化したためか、より味がわかりやすい。 酸味を中心に、成分無調整らしく4つくらいの味が雑然と次々出てくる感じ。ただし、「これは!」と言うピンとくる感じの味はありませんでした。 あと、タネとして使った「雪印メグミルク 恵 megumi 植物生まれ」のエンドウ豆の味も微かにありました。硬さは元の「恵」より若干柔らかめです。 問題がないにせよ、表面がピンク色になるのは見た目が良くありません。味の点でも、特筆するほどではありません。 1回で食べられない分は、冷蔵庫保管。密閉容器で管理すると、約2週間食べられる※一週間、できる限り早くとのことです(保存期間に関してはメーカー情報)。 ※初出の情報に誤りがありました。申し訳ございません。2024年4月26日※印部分を訂正いたしました。

定番商品・キッコーマン「調整豆乳」ベースは、おいしい!

さて次は調製豆乳。同様に処理、ヨーグルトにしてみました。

こちらはきれいなアイボリー。食べると、無調整豆乳ヨーグルトよりはるかにおいしい。

特徴は甘みがカットされた感じと雑味のないスキッとした味わいです。成分調整してあるのが、味にプラスになっています。 狙った豆乳ヨーグルトができました!! 日本人は、あるがままのものを好む傾向がありますが、ヨーグルトのベースに使う豆乳は、調整したものを標準とすることをお勧めします。

おまけ実験■「ふくれん 国産大豆ソイラテコーヒー」のヨーグルト化はできるか?

スーパーのヨーグルト売り場を見ると、プレーン、ミネラル分(カルシウム、鉄分等)他を調整したもの、そして果肉を加えた3種類がラインナップされています。また豆乳の方はそれに呼応するように、成分無調整、成分調整、そして果物、コーヒーの味を加えたラインナップとなっています。

この豆乳を用い、「コーヒー味のヨーグルト」を作ろうと言うわけです。 ベースに用いる「ソイラテ」を作っている ふくれんの情報によると豆乳は30%。その他の成分はコーヒーです。このためヨーグルトの固形分を作るのに必要なタンパク質は、200ml中、3.0g。 キッコーマンの調整豆乳で、200ml中、約7.1g。1/2以下しかありません。ちなみに牛乳のタンパク質は、200ml中、約6.8gです。

二度トライしたが、固化の少し手前のような感触です。見た目は形になっていますが、スプーンを入れても固さが感じられませんし、すぐに崩れます。 どちらかというとヨーグルトドリンクに近い食感ですが、味はかなりいいです。ふくれんの「ソイラテ」は味に定評がありますが、それにさわやかな酸味を加えた感じです。正直、結構女性受けするのではないでしょうか。 個人的には、もう少し甘みが薄い方が好みですが、ごくごく飲めます。

ヨーグルトはできませんでしたが、ヨーグルト風味を加えたドリンクを作ることができました。

■まとめ

今回は、タネを一つに絞り、豆乳を変え、いろいろ試してみました。これ以外にも、乳酸菌、ギリシャヨーグルト、カスピ海ヨーグルトなどいろいろと試すことができます。 しかし、一番面白いのは、多分お酒でしょう。 奈良時代より、牛乳製品を示す言葉、「乳(にゅう)」「酪(らく)」「生酥(しょうそ)」「熟酥(じゅくそ)」「醍醐(だいご)」が残されています。日本の味の最高峰の表現が「醍醐味」と言われていますが、それがどんな味だったのかは不明です。しかし醍醐天皇、後醍醐天皇と、天皇に諡(おくりな)される様に、さぞスゴい味だったのでしょうね。

それはさておき、この5つの食べ物の中に、牛乳から作ったお酒があるのではと言われております。 実は、冒頭の漫画では、ヨーグルトメーカーの回は、エルダが作ろうとしたヨーグルトを、お使いの精霊が、「ケフィア菌ちゃん」と「イースト菌ちゃん」を呼んでみんなで乳酒にしてしまいます。漫画ではエルダがそれを必死に止めるのですが、個人的には、ぜひ飲んでみたいと思っています。 逆にいうと、好奇心さえあれば、かなり楽しい家電といえます。 また、ヨーグルトに限らず、甘酒もサラダチキンも作れます。 またヨーグルトは400mlで180円くらいしますが、これをタネにすると豆乳3Lをヨーグルトにすることができます。市販だと1350円位するのが、そのほぼ半額で作ることができます。 本体価格が、これで5千円程度ですからね。今の不景気に相応しい高コストパフォーマンス家電と言えるでしょう。

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