感染リスク“5分の1”「酒で赤くなる人はコロナにかかりにくい?」東アジア特有の体質関係か…佐賀大学研究チーム

飲酒で顔が赤くなる人はコロナ感染リスクが低い…その可能性を指摘する佐賀大学の研究が注目されている。あくまでも現時点の研究内容で言い切れるわけではないが、感染症予防につながる研究として期待されている。

飲酒とコロナの関係を調査

「酒を飲むと顔が赤くなる体質が新型コロナに防御的」との研究報告。
これは、佐賀大学医学部の研究チームが2024年3月に発表したものだ。

研究チームは2023年、インターネットでコロナや飲酒についてのアンケートを行い、約800人から回答を得た。

その結果、2019年12月から2021年8月までの期間、「飲酒で顔が赤くなる人」の感染リスクは約5分の1にとどまっていたという。

この結果について佐賀大学医学部の松本明子准教授は、「お酒を飲んで顔が赤くなる体質を持っている人と持っていない人で、新型コロナにかかりやすいかどうかリスクが違う」との見解を述べた。

4割超が「アジアンフラッシュ体質」

飲酒で顔が赤くなる体質は東アジア特有のもので、「アジアンフラッシュ体質」と呼ばれる。松本准教授は、この体質を20年以上研究してきた。
松本准教授によると、日本では4割以上が「アジアンフラッシュ体質」だという。

では、飲酒で顔が赤くなる体質の人がなぜ“コロナに強い”のだろうか?
松本明子准教授によると、まだはっきりとは分かっていないが、飲酒で赤くなる人は、遺伝子レベルで病原体に対する体の殺菌作用や免疫の働きが強い可能性があるという。

研究結果への反応は様々

「飲酒で顔が赤くなる人はコロナにかかりにくい可能性がある」との研究結果について佐賀県民に聞いてみたが、その声は様々だ。

“顔が赤くなる”という人がどう受け止めているのか、その一部を紹介しよう。

Q、酒を飲んで顔が赤くなる人はコロナにかかりにくい説があるがどう思いますか?

顔が赤くなる人
「確かにコロナにかかりませんでした。家族はかかったんですが私だけかかっていない。インフルエンザもかかっていない。ちょっとおかしいのかな…とみんなから思われていた」

「僕は量を飲むとすぐ赤くなる。でも僕もコロナになりました。怒られるかもしれないけど、あまり関係ないんじゃないかと」

この他、サガテレビではインタビュー取材だけでなくアプリを使ってアンケートも行ったが、「酒に弱い知り合いが何人も罹患していない」「体調や環境の影響が大きいと思う」など全体として幅広い意見が寄せられた。

感染症対策を目指し研究継続

あくまでも現時点での研究内容であり、「飲酒で赤くなるとコロナに強い」と言い切れるわけではない。
しかし、感染症予防につながる可能性があり、松本准教授は今後の研究について次のように展望を語る。

佐賀大学医学部 松本明子准教授:
どういうメカニズムで、そういう体質(飲酒で顔が赤くなる体質)の人が感染症に強いのかが分かれば感染症対策の戦略に結びつくと思う。だからここでストップするのではなく、メカニズムを探っていきたい

日本は世界的に見ると新型コロナの罹患率や死亡率が低く、この体質が新型コロナから身を守っている可能性があるという。
佐賀大学医学部はこの体質をさらに研究し、なぜ新型コロナに影響しているのか、ほかのウイルスや感染症にも影響するのかなど研究を進めることにしている。

(サガテレビ)

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