馳浩石川県知事「把握するためのベースが違う。市町が多くて当然」 在宅避難者の数めぐり県と市町で大きな乖離

能登半島地震の発生から間もなく4か月です。避難所から住民が自宅に戻るケースが増えています。しかし、断水が続くなど困難な状況は変わらないままの在宅避難の現状です。

沢村すみ子さん「(この地区では)夜も電気つかないし。どこか引っ越そうかと思うくらい」

珠洲市正院町川尻に住む沢村すみ子さんは、地区のほとんどの世帯が仮設住宅や2次避難先に移る中、被災した家に住み続けています。

沢村すみ子さん「全部壊れた、この壁落ちたのよ。大工さんも避難所から通ってきている、自分のところもしないといけないけど。みんな仮設の街になってもうて、川尻だけで10人いない」

電気が通るようになり、復旧は少しずつ進んでいますが、4か月近く経った今も住民の頭を悩ませているのは断水です。

沢村すみ子さん「5月中頃くらいまでこないんじゃないかな水。水がきても家の中の排水が壊れているからこれからどれくらいかかるかわからない。早くせめて水だけでも出してほしいよね」

珠洲市内の別の地区でも同じ悩みを抱えた人はいます。3月末までビニールハウスで生活していた珠洲市三崎町細屋地区の上野勲さんは、4月に入り自宅に住むようになりました。

上野勲さん「(部屋の戸が)閉まらない、傾いて」

上野さんの住宅は半壊し、部屋に置かれた仏壇が大きく傾いたままです。水が出ない状況が続くことが生活をするうえで大きな障害になっているといいます。

上野勲さん「まあ4か月になるけど、電気はきたけど水はこない。5月になる6月になるかわからない。去年5月の地震もひどかったけど、とどめ刺されたみたい」

上野勲さん「人口減って若い人おらん、大変だと思うこれから。どうにもならんでしょ」

地震発生から月日が経つにつれ、避難所から戻って生活する在宅避難者の数は増えています。内閣府によると、22日の時点で珠洲市が対面により把握している避難所以外の自宅や車中泊の在宅避難者は2513人。

しかし、8日の時点で石川県が把握しているのはこのわずか4分の1、635人にとどまっています。

2513人と635人。数字に大きな開きがあります。

石川県・馳浩知事「県はLINE登録ですよね。LINE登録をしていただいたデータを市町に提供しているんです。ベースがまったく違うんです」

馳知事は、「市や町は職員の見守りなどもあるので把握が詳しくできて数が圧倒的に多いのは当然」とする一方「被災者のデータの管理は県がフォローしたい」と
今後の対応について述べました。

ただ、数字の把握に乖離があることは在宅避難者をめぐる県と被災自治体での認識のずれにもつながりかねず、住民への適切な支援に結びつくのか、課題のひとつが浮かび上がっています。

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