「申し訳ない気持ちでいっぱい」鹿児島・志布志市のふるさと納税返礼品 産地偽装が明らかに 商品卸す会社社長が謝罪

鹿児島・志布志市のふるさと納税返礼品で「県内産の黒毛和牛」「黒豚」としていた31点が、他県のものだったことが明らかになり、商品を卸していた宮崎県の会社社長が鹿児島テレビの取材で、謝罪の言葉を口にした。

7年に渡り偽装「やめようと思ったが」

4月24日、鹿児島テレビの取材に応じた、鹿児島と境を接する宮崎・都城市にある食品加工卸業者、谷川食品の谷川長蔵社長は、「こういうこと(産地偽装)をしてしまい、本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」と謝罪した。

志布志市が、2017年5月から2024年1月にかけて発送したふるさと納税の返礼品のうち、鹿児島県内産とされていた黒豚や黒毛和牛31点の産地が偽装されていた今回の問題。

これらの返礼品は谷川食品が調達、加工し、志布志市の観光施設「蓬(よもぎ)の郷」に納品され、そこから志布志市に寄付した人に発送されていた。発送したのは501人、563件分で、寄付総額は2434万7000円にのぼる。

なぜ7年もの間、産地偽装が続けられたのか。谷川社長は「なかなか値段が合わなくなって、それで産地偽装してしまった。やめようと思っていたが、ついついそのままになってしまって」と語った。

さらに谷川社長は、「だいたい3分の1くらいが宮崎産。従業員は知らない。私自身でやったこと。何でこんな馬鹿なことをしたんだろうと、いろいろ思って」と後悔を口にした。

市長も謝罪 5月中めどに代替品発送

事態が発覚し、1週間ほど前に宮崎県と九州農政局の職員5人が訪れ、工場内の立ち入り調査と、取り引きに関する書類の提出を求められたという。

谷川社長によると、鹿児島・鹿屋市と志布志市に約10の取引先があるということだが、産地偽装を行っていたのは「蓬の郷」に対してだけと話している。

ふるさと納税返礼品の産地偽造問題について、志布志市の下平晴行市長は4月22日に緊急会見を開き、「深くおわび申し上げます。誠に申し訳ありませんでした」と謝罪したうえで、「基本的には『県産のものである』と事業者が偽っていたのでわからなかった。考え方としては絶対あってはならないこと」と述べた。

志布志市の2022年度のふるさと納税額は62億1900万円で、鹿児島県内1位、全国15位で、全国的にも知名度の高い寄付先といえる。
志布志市では、寄付した501人にメールでおわび文を送り、5月中をめどに代替品を発送することにしている。

約7年にわたり、寄付した人を裏切る行為となった今回の問題が明るみになったことで、鹿児島県は4月22日に鹿児島県内の全市町村に対して、ふるさと納税の返礼品が総務省の定める基準を満たしているか確認するよう求めている。

(鹿児島テレビ)

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