山口県内では、若手医師の不足が課題となっています。
過重な労働が原因の1つと考えられ、県医師会は25日、負担軽減のため不要不急の救急の利用を控えるよう呼びかけました。
県医師会が会見で呼びかけました。
2021年度、県内での時間外の救急対応はおよそ10万8000件で、このうち入院を要するような重篤な例はおよそ2万8000件でした。
それ以外のすべてが不要不急だったというわけではありませんが、疑問のある例も多いのではないかとしています。
県内の医師の数は全体では増えているものの、45歳以下の若手は減少傾向で、県医師会では過重な労働など仕事の厳しさが敬遠される一因となっているのではないかと見ています。
将来の医療態勢を維持するためにも適正に救急を利用してしてほしいとしました。
迷ったときは、相談電話#7119番、子どもの場合は#8000番の利用を呼びかけました。
実際、医師はどんな働き方をしているのか。
地域を支える中核病院の現役の医師に聞きました。
徳山中央病院の清水医師は、周南地区の救急医療を支える救急科を率いています。
救急科の医師は4人。
勤務は日中のいわゆる「日勤帯」で、夜間は3人の研修医を含む救急科以外の医師5人程度が担当しています。
通常土日は休みですが、実態はそうではありません。
徳山中央病院 救急科 清水弘毅 主任部長
「救急科の立ち位置が集中治療管理と言って、容体が悪い人の対応をしないといけないので、そこにずっといてしまうと人数が足らないので」
救急患者の診療は患者本人から症状を聞くことができない場合も多く、検査、観察など時間をかけなければならないと言います。
定時で帰れることはなく、呼び出しも当たり前だそうです。
徳山中央病院 救急科 清水弘毅 主任部長
「8時間9時間の労働では時間が全然足りなくて、そこにプラスで何時間かかかってしまうんですよね。だいたい20時から22時くらいまでに帰るというか、一般の業務が終わるのがそれぐらいで、そこから学会の発表準備とかあると0時前後っていうのがふつうだったんですよね。そこに呼び出しがあってとか…」
診療以外の研究や論文の執筆なども大事な仕事です。
これをしなければ地域医療の損失は大きいと考えています。
徳山中央病院 救急科 清水弘毅 主任部長
「研究・論文がないと、新しい医者が山口県に来るのを防ぐ要因になってしまいそうで」
文字どおり、寝る間も惜しんで働いている状況だと言います。
医師ら、医療スタッフの健康が守られなければ、その影響は患者や地域医療に及ぶと考えています。
県全体で、スタッフを確保し、充実させることの必要性を訴えます。
徳山中央病院 救急科 清水弘毅 主任部長
「地方を考えてみると、医者が足りない、スタッフが足りないところって、やはり周りから見ると疲弊というか疲れてるんですよね。けど、それが何でもってるかっていうと、個人個人の医者の責任感とかでもってると思ってるんです。だけど、そこに見合わなければ、やはり見合うところのよりよいところに出て行っちゃうって
いうのが今の現状で…」
今が医療界の働き方改革を成功させるための正念場だといいます。
徳山中央病院 救急科 清水弘毅 主任部長
「どれだけいい病院になってるんだとアピールをして、医師が来たい病院ができないといけないと思うんですよね。それが山口県でやらなきゃいけないことなのかなと個人的には思ってます」
報酬に休暇、福利厚生…今求めるものを尋ねると、「存分に腕を振るえる環境だ」と清水医師は即答しました。
医師や医療スタッフが力を発揮できる環境を作るにはどうしたらいいか。
制度だけでなく、医療を受ける側の私たちも考えるときに来ています。