ボランティア×観光=充実、満腹、愛着アップ…その名も「草刈りツーリズム」 地域の課題解決にも一役 霧島市牧園 

安楽温泉神社周辺の草刈りや社殿の塗り直し作業に汗を流した参加者=霧島市牧園町宿窪田

 ボランティアと観光を組み合わせた「草刈りツーリズムプロジェクト」が20日、鹿児島県霧島市牧園の安楽温泉神社周辺であった。県内外の31人が参加し、沿道の草を刈ったり、社殿の塗り直しをしたりして、地域の困りごとの解決に一役買った。

 2月に発足した草刈りツーリズム霧島支部が、地元の安楽温泉振興会(鶴ケ野博彰会長)の依頼を受け、企画した。

 振興会によると、同神社は880年以上の歴史を持つとされる温泉地・安楽温泉郷の起源といい、地域住民が代々管理してきた。しかし近年、住民の高齢化が進み、手入れが行き届かないことが悩みの種だったという。

 集まった人は参加費1500円を支払い、鎌や草刈り機を持参し気合十分。境内や国道223号沿い、天降川河川敷に生い茂る草を刈った。その後、はけに持ち替え、社殿やほこらの壁を鮮やかな朱色に塗り直した。

 作業が終わった午後は全員でバーベキューを楽しみ、温泉で汗を流して親睦を深めた。夫婦で参加した福岡県八女市の会社員上山達也さん(49)は「一度来たことがあったが、自分で手をかけてきれいにしたことでより一層愛着がわく」と話した。

 鶴ケ野会長(66)は「いろんな人に協力してもらえて、本当にありがたい」。草刈りツーリズム霧島支部長を務める白水梨恵さん(37)は「草刈りを単なる作業に終わらせるのではなく、楽しみながらその土地のことを知り、参加者同士の交流につなげたい」と話した。

安楽温泉神社の社殿を朱色に塗り直す草刈りツーリズムプロジェクトの参加者=霧島市牧園町宿窪田
安楽温泉神社の境内で草刈りをする参加者=霧島市牧園町宿窪田

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