「力士になりたい」武雄の相撲キッズが角界入り 元村康誠くん15歳【佐賀県】

相撲に打ち込む武雄市の15歳の少年。「力士になりたい」という夢を叶えるため、この春中学を卒業後、親元を離れ、角界の門を叩きました。

【康誠君】
「みんなから頑張ってって言われているので、大相撲で活躍し恩返しします」
【秀ノ山親方】
「康誠がいちばん最初に先陣を切って入門してくれることすごくうれしいです」

3月末、武雄市でこの春から角界を目指して相撲部屋に入門する少年の壮行会が開かれました。
少年の名は元村康誠君。
「力士になる」という小さなころからの夢を叶えるため15歳で親元を離れ、多くの関取を輩出する名門・佐渡ケ嶽部屋にこの春、入門します。

【康誠君】
「自分は小さいので、とにかく動いて投げたり動いていく相撲をしていきたいです」

康誠君は身長159.5センチ、体重67.6キロ。
比較的小柄なため、力士になるための「基準」とされる「身長167センチ」を満たしていません。そのため新弟子二次検査を受け運動能力が十分であると認められれば健康診断などを経て合格となります。

康誠君が相撲を始めたのは小学校2年生の時。
地元の北方相撲クラブの監督が経営する飲食店で監督に声をかけられたのがきっかけでした。

もともと、運動神経には定評があり、体幹を鍛えるために始めましたがメキメキと力をつけ全国大会でも好成績を残しました。
小学生時代から康誠君は将来の夢は決まっていました。

【康誠君】
「さらに大きくなって強い力士になることです。横綱」

康誠君が稽古を積んだ北方相撲クラブは小学生から高校生まで男女14人が週に3回、稽古に励んでいます。

「いきますよ、はっけよい」「あご引いてあご引いて」

長年指導してきた北方相撲クラブの松尾監督は康誠くんの強みはスピード感と話す一方、課題もあるといいます。

Q.元村君の特徴は?
【松尾監督】
「持って生まれた運動神経でスピードある相撲をとっています」
Q.課題は?
「大きい相手に対して中に入ってしまうので持ちあげられちゃう」

3月、稽古帰りの康誠君は台所で自分の昼食としてチャーハンを作っていました。

【カメラマン】
「鶏肉?こだわりあるの?」
【康誠君】
「自分は筋肉をつけたいのであえて鶏肉を入れています」

「自分のことは自分でする」という松尾監督の方針。

この日は、約3合のご飯と牛乳500ミリリットルをぺろりと平らげました。

Q.味はどうですか康誠君
「うまいです」
Q苦手なものは
「野菜が苦手」

康誠君は3人きょうだいの末っ子、元村家の長男として2008年に産まれました。

【母・美幸さん】
「末っ子で甘えん坊だったりしたんですけど相撲に行き出してから自分でなんでもするように」

15歳で親元を離れ、力士になるという決断を母親の美幸さんは複雑な思いで見ていました。

【母・美幸さん】
「親としてはまず高校にでも行ってからいう風な気持ちはあったんですけど、本人がどうしても行きたいということで」
【康誠君】
「大相撲に行くことが夢だったのでワクワクが大きいです」

Q.さびしさみたいなものは
【母・美幸さん】
「あります。寂しいばかり思ってもいけんけん、とにかく応援していかないといけないかなと思って私も決心をしたところです」

そして迎えた壮行会。
武雄市の小松市長など多くの関係者が門出を祝いました。

同じクラブで長年切磋琢磨してきた同級生井手捺貴くんの姿もありました。
井手くんは鹿児島県の強豪校に進みさらに実力を磨きます。

【井手君】
「康誠、大相撲行って体重も増やしてもっと強くなっておれと一緒にてっぺんとろうぜ」

【秀ノ山親方】
「体は小さいですけれどもこれは必ず武器となります。まずは壊れない体づくりを3年間していき、その中で康誠だけの相撲を見つけ出し、力士になってよかったなと思えるように。康誠とともに頑張っていきたいと思います」

康誠君は4月19日に行われた二次試験に無事合格。
5月行われる予定の新弟子検査に合格すれば、晴れて「力士」となります。
日本相撲協会によると身長150センチ台の力士が誕生すれば戦後初ということです。

【秀ノ山親方】
「相撲が好きだからこそ苦しいことも乗り越えられると思うので、しっかり自分の夢をつかんでほしいと思います」

「力士になりたい」という長年の夢を叶えるためこの春佐賀から飛びたった康誠君。
小柄な体型を生かし土俵を動き回って多彩な技を披露してくれる日を県内の好角家たちは首を長くして待っています。

【父・康雪さん】
「ケガをしないで1つ1つ自分であがっていけばいいなと思いますけどとにかくまずはケガをしないように頑張ってもらいたい」

【康誠君】
「これからは自分の夢に向かって一生懸命稽古に励んで親方・監督に恩返ししたいと思います。そして今まで支えてくれた両親に早く親孝行したいと思います」

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