決定率「61%」の石川祐希がプレーオフ初のMVP!両チーム最多18得点を挙げ、昨季王者にストレート勝利「最も精度の高いプレーヤーの一人!」

現地時間4月24日、バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガで2023-24シーズン・プレーオフ3位決定戦の第3戦が行なわれた。男子日本代表の石川祐希が所属するレギュラーシーズン6位アリアンツ・ミラノは、同首位イタス・トレンティーノとアウェーで対戦し、セットカウント3‐0(25-22、25-23、25-14)のストレート勝利で昨季王者を粉砕して2勝1敗とし、3位へ大きく前進した。

ミラノの先発陣は、パリ五輪出場が決定しているアウトサイドヒッター(OH)の日本代表主将・石川とミドルブロッカー(MB)のアルゼンチン代表アグスティン・ロセル。ネーションズリーグ(VNL)で残る4席の出場枠(5席中1席はアフリカ大陸枠)を狙うイタリア代表のセッター、パオロ・ポッロ、MBマルコヴィテッリとリベロのダミアーノ・カターニャ、キューバ代表のOHオスニエル・メルガレホとベルギー代表OPフェレ・レゲルス。左ふくらはぎ負傷で第1、第2戦を欠場したブルガリア代表の大ベテラン、マテイ・カジースキは、リリーフサーバーとして途中出場した。
トレンティーノもセッターのリカルド・ズベルトリ、OHのアレッサンドロ・ミキエレット、ジュリオ・マガリーニと腹直筋の負傷でこの試合は欠場の主力ダニエレ・ラヴィアがイタリア代表に招集。2022年に同国籍を取得して五輪での代表入りが期待されたOPカミル・リヒリツキは手続きの問題で今回の招集は見送られたが、MBの2選手、スロベニア代表ヤン・コサメルニクとセルビア代表マルコ・ポドラシュチャニンもシーズン終了後にVNLで切符獲得を目指す強豪国の主力メンバーだ。

第1セット、石川が最初の得点をもたらしたミラノは、メルガレホとロセルのエース2本を含むサーブで攻め込み、前半にリードを4点へ広げる。被ブロックと誤打で後半に追い上げを許して同点とされるが、石川が相手ブロックを上手く使ってすぐさまリードを奪取。以降、僅差ながら優位を譲らず、石川が放ったレフトからの強烈な打球でロングラリーを制して試合を先行した。
第2セットはトレンティーノに連続ブレークを許して序盤に3点のビハインド。そこからチームを逆転へけん引したのは石川だった。まずは、レフト攻撃で点差を詰め、ライトからのクロス弾で1点差。続くサーブでエースを叩き込むなどして3連続ブレークの起点となる。接戦へ持ち込んだミラノはサーブミスが続き一度後退するが、再び石川が奮起。バックアタックとポッロのブロックで21-21として相手の背中を捉えた直後に、今度はライトからブロックアウトを決めて前に出る。2度目のセットポイントを1セット目と同様のレフト攻撃で仕留めてセットを連取した。

第3セット開始早々に相手セッターのズベルトリにエース1本を決められるが、司令塔ポッロが3連続エースで3倍返し。続けて石川がレフトからクロス方向へ強打をお見舞いすると、後がないトレンティーノはタイムアウト2回を使い切る。その後も絶好調なサーブで相手の巻き返しを封じ込め、追加点を重ねるなか、両チームそれぞれが審判の判定に抗議して試合が2度にわたり中断。それでも冷静さを失わなかったミラノがそのまま疾走。今季レギュラーシーズン首位で終えた昨季王者を撃沈して2連勝を収め、3位へ王手をかけた。
石川は両チーム最多となる18得点(アタック17、エース1)を記録。決定率61%をマークしたアタックで勝利に大きく貢献してこのプレーオフシリーズ初のMVP(マンオブザマッチ)を獲得した。なお、2セット目連取の口火となったエースで、今季の公式戦(欧州を含む)通算500得点を達成した。

トレンティーノのホーム戦で実況を担当するサラ・ラヴァネッリ氏は背番号14のパフォーマンスを、「最も精度の高いプレーヤーの一人」と称賛。解説者でジャーナリストのアンドレア・コッビ氏は、テクニックが詰まった高い攻撃力に、「イシカワの変化に富んだアタックに、トレンティーノはまったく対応できていない」と頭を抱えた。

コッビ氏のオンコートインタビューにイタリア語で応えた石川は、「今日の僕らは、とにかく素晴らしかった。第1、第2セットは僅差のなかでしっかり取り切り、3セット目も試合の最後まで集中を保って戦うことができた」とコメント。圧勝の要因を、「ミラノはサーブが非常に好調で、ブロックと守備の良さが加わりこの結果を得られたと思う」と試合を振り返った。

あと1つ白星を飾れば3位が決定するミラノ。ホームでの次戦へ向けては、「アリアンツ・クラウドへ戻り、素晴らしい試合をします」と決意を表明した。

第4戦は日本時間4月28日午前3時30分に開始予定。ミラノはサポーターの応援を力に本拠地で3位の座を目指す。

構成●THE DIGEST編集部

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