ミズノ ST-MAX 230 ドライバーを筒康博が試打「中上級者のイメージを一掃」

鉄芯×MAX ミズノの高MOIヘッド ご意見番クラブフィッターの評価は!?

ミズノ独自の新機能「コアテックチャンバー」を搭載し、反発力を高めて高初速エリアを拡大させた「ST 230」シリーズ。そんな“鉄芯”と呼ばれる最新技術を採用したヘッドに、高慣性モーメントを加えた「ST-MAX 230 ドライバー」が仲間入りした。“MAX MOI × MAX 初速”を実現したMAX尽くしの一本を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「MPでもSTでもない全く新たな特性 進化がやや急激すぎ(?)」

弾道は左右に散らばることなく真ん中に収まっていたが…

―率直な印象は?
「昨年までの『ST』シリーズとの特性の差が大きすぎる気がします。『MAX』というネーミングから、ある程度はイメージしていたのですが、寛容性を非常に高く持たせたことで従来の『MP(ミズノプロ)』シリーズからの流れを全く感じない特性に生まれ変わっています。打感がやわらかすぎて、フェースのどこでヒットしているか明確に感じられない。それほどオートマチックな動きをするヘッド特性と感じました」

次世代型「コアテックチャンバー」を搭載したMAXモデル

―打点が分からないということは操作性が悪くなったから?
「オートマチックと操作性は、基本的に対極にあって、今作のように寛容性を求めると、当然ターゲット層は操作性重視のゴルファーではなくなってきます。求めている要素が真逆なため、今までミズノドライバーに求めていたイメージとはかけ離れた印象となっています。ただし、操作性が悪くなったというわけではなく、特性の方向転換をしたことで感じられるメリットが変わっただけ。その代償として、今まで感じられたフィーリングが少し欠如したと捉えるべきでしょう」

左が「―MAX」右が「―X」。バックウエートの違いに注目

―昨年発売の「ST-X 230」と比べると?
「過去の同社ドライバーは比較的重心が浅く、シャフトの近くにあるイメージでしたが、『ST-X』はそこをしっかり踏襲し、重心距離の短さを十分感じることができます。クラウンの転写マークも、そのような位置(ややヒール寄り)に配置されていて、ソールウエートが後方ヒール寄りにある分、ドローバイアスが感じられる構造となっています。重心距離が短い『―X』と、深さと重心角の大きさを感じる『―MAX』。性格が違いすぎるため両モデルで購入を迷う人はおそらく少ないと思います」

同社独自の新素材「Ti-LFS」を採用したフェース

―それほど既存イメージを覆したいうことでは?
「そうですね。ミズノ=中上級者が使う操作性のいいモデルという固定観念を持っていること自体が古い考え方なのでしょうか。“鉄芯”という精悍なキャッチコピーの影響もあり、私が先入観を持ちすぎているだけかもしれません。ただ、現在“高慣性モーメント”が市場のトレンドになっていますが、全ゴルファーがそれを求めているかというと、正直疑問は残ります。おそらく多くのゴルファーが同社に求めているイメージは、極大な慣性モーメントやフェースのどこに当たっても真っすぐ飛ぶ寛容性ではない気がするので、イチゴルファーとしてちょっと衝撃を受けたというのが本音です」

クラウンだけでなくソールのカーボン占有率も高め

―他社でいうと類似モデルは?
「コブラ『ダークスピード MAX ドライバー』は結構似ている気がします。コブラもミズノと同じく、全体的にはやや中上級者向けのイメージがあり、その中の『MAX』同士でなら近しい雰囲気を感じる。ですが、各社独自の進化を遂げているなかで、似たようなものが偶発的に生まれることはあっても、テクノロジーや方針まで類似したモデルは存在しません。ミズノはミズノ、コブラはコブラ。国産と海外ブランドでカラーが違うように、それぞれが個々の道をしっかり歩んでいるといえます」

「自分が古いタイプの人間だと気付かされる一本かも」(筒)

―どのような人向き?
「同社のアイアンユーザーがメインターゲットになるでしょうか。キャビティ→中空構造、マッスルバックも昔のものからやや重心が低く変化していたり、アイアンモデルも徐々に構造進化を遂げているように、ドライバーはさらに速いスピードで進化している。同社ファンはアイアンをベースに考える人が多いと思うので、新調したアイアンに合わせて、そろそろドライバーも…と考えるゴルファーがメイン対象になってくるでしょう。それほど個性的で、同社ならではの進化を感じました

イメージが固まっていた分 反動の大きさで操作性3△【総合評価4.1点】

【飛距離】4.0
【打 感】4.5
【寛容性】5.0
【操作性】3.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:TOUR AD GM D(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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