日産自動車横浜工場 工場見学が累計30万人 愛され続けて90年 横浜市神奈川区

井口工場長(後列中央)と国際色豊かな参加者

日産自動車(株)横浜工場=宝町=は4月19日、工場見学ツアー参加者が累計30万人に到達した。当日はセレモニーを実施。日産発祥の地として90年を数える同工場では、高い技術を生み出し続けながら、イベントや環境美化など長年の社会貢献にも寄与している。

1933年に設立されて以来、日本や世界で初となる技術革新を進めて累計4000万基のエンジンを生み出してきた。20003年に旧本社ビルを利用しゲストホール・エンジン博物館(現エンジンミュージアム)を設立。同年に始まったのが、工場見学ツアーだ。

国内外からファン

工場内ではロボットや人が協力してエンジンを組み立てる様子を間近で体感できる。ゲストホールではエンジンやモーターの最新技術を展示。エンジンミュージアムでは、市販車やレースで活躍した歴代のエンジンや工場の歴史を知ることもできる。「技術の日産」として、日本そして世界の最先端を走ってきた横浜工場だからこそできる特別な体験を求めて、日本各地はもちろんのこと世界からも多くのファンが訪れる。

累計30万人に到達した4月19日にも、国際色豊かな参加者たちがホールに会した。サプライズで始まったセレモニーでは、井口栄二工場長も出席。くす玉を割り、紙吹雪とともに「祝30万人達成!」の文字が現れると会場からは大きな拍手が沸き起こった。参加者には、記念品としてタオルやミニカー、工場特製の柿の種が贈呈された。

井口工場長は「日産創業の地で、記念すべき30万人の節目に立ち会うことができて光栄。ここまで来られたのは日産ファンの皆さんのおかげです」と感謝を口にした。

地域に笑顔と元気を

同工場が地域のシンボルとして愛され続けるのは、その高い技術力だけではない。「地域に笑顔と元気を届けたい」と社会貢献活動にも長年力を入れている。

地域との共生を目的に始まった「日産YYまつり」は、すっかり風物詩として定着。社員たちによる出店のほか、近隣店舗や地元自治会・町内会のテントが軒を連ね、広大な工場の敷地は来場した地域住民で埋まる。毎月23日には「ニッサンデー」と称して区役所や地域住民と一緒に工場周辺や町内の美化活動を推進している。また、市内小学校では電気自動車のモーターを使った出前授業なども実施している。

廃材を再利用した取り組みも。エンジニアらからなる環境美化を担当する部のメンバーが中心となり、工場での製造で発生した鉄板などの廃材を使って、ハロウィーンや正月に合わせたオブジェを製作。道路に面した工場前に設置し、通行人やバスの到着を待つ人々の目を楽しませてきた。今春には、「廃材カー」を製造。シートには春を感じさせる花が飾られ、街並みに彩りを添えている。「工場のある地域を明るく美しくして、住民の皆さんに元気を届けたいとの思いで取り組んでいる。ぜひ足を運んで楽しんでもらいたい」と担当者は話す。

花が彩りを添える廃材カー
廃材カーの製造風景

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