ボクシングのアジア最強ライト級T開幕 本命・今永が1回TKO発進「想定内。圧倒的に優勝したい」

 アジア最強ライト級トーナメント1回戦を突破した今永虎雅

 「ボクシング・アジア最強ライト級トーナメント」(25日、後楽園ホール)

 優勝賞金500万円のトーナメントが開幕し、本命視される日本ライト級6位の今永虎雅(24)=大橋=がマ・シャン(27)=中国=に圧勝して7月18日の準決勝に駒を進めた。

 サウスポーの今永は強烈な左ストレートでダウンを奪い、立ち上がったマを左ストレートからめった打ちにして1回2分35秒、TKO勝ち。「早すぎる!」という観客からの声に「(1回KOは)想定内、予想通り」と答え、「これまでの自分とは全然違うと今日でちょっと分かってもらえたかなと。このまま圧倒的に優勝したい」と宣言した。

 控室では「もっとできますね。相手が強ければ強いほど発揮できるタイプだと思うので」と自信を漂わせた今永。「1ラウンド目から自分のやりたいボクシングをやっていくのがテーマ」だったと明かし、具体的には「パンチをもらわない、攻撃を一方的に当てていく、理想で言えば(同門の井上)尚弥さんみたいな試合」と説明した。

 前回、昨年7月の試合では勝ったものの左アゴを骨折し、ブランクができた。その間、同門の武居由樹の出身ジムで、武居や八重樫東トレーナーらと通っているパワーオブドリームで「自分に足りなかった」というパワーのアップに努めたのをはじめ、古川誠一会長に「打ち方から何から全部見直して」もらったという。「その成果が出たかな」と手応えを感じていた。

 1回戦のもう1試合は、日本14位の齊藤陽二(28)=角海老宝石=が日本1位の齋藤眞之助(28)=石川=と激突。1回に齊藤が右フックでダウンを奪えば、2回に齋藤が右フックでダウンを奪い返し、最後は2回2分55秒、齊藤が右フックで倒してKO勝ちした。下克上を果たした齊藤は「倒されたのはスリップ。もらった時だったので笑っちゃいました」と苦笑いしつつ、「トーナメント絶対優勝をテーマに掲げている。KO賞も出ているので、全試合KOで勝って」と宣言していた。

 メインイベントの日本スーパーフライ級タイトルマッチは、王者の高山涼深(27)=ワタナベ=が、3度目の挑戦となった1位の古谷昭男(26)=六島=を3回1分31秒、TKOで退けた。3回に右フックでダウンを奪い、右フックでとどめを刺した。

 小口忠寛トレーナーは「今回は(調子が)上がってくるのが遅かった。練習でも一時スランプ気味になっていたので、追い込みの時期に思い切って3日間完全休養させてみた。そこから上がってきたので良かったけど」と明かし、高山は「減量の取りかかりが遅かった。そこが一番の反省点」と認め、渡辺均会長は「副業(ラーメン店)が順調なので、なかなか取りかかれない」と補足。

 小口氏は「本当に今回は苦労しました。ここで自分を変えなければ終わっちゃうよ」と苦言を呈し、高山も「これを機に」と約束していた。

 セミファイナルの日本ユース・ミニマム級王座決定戦は、精度の高い連打で攻め込む佐伯侑馬(21)=大橋=に対し、宮澤蓮斗(21)=松田=は6回、「狙っていた」という右オーバーハンドのフックでダウンを奪取。最終8回まで激しい打ち合いとなり、76-75が2者、75-76が1者のスプリット判定で宮澤がベルトを巻いた。激闘を制した宮澤は「実感ないですね。でもうれしいですね」と喜んでいた。

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