明石家さんま主演のギャグドラマ『心はロンリー 気持ちは「…」』21年ぶり復活 さんま&三宅恵介Dを西山喜久恵アナが取材

明石家さんまさん主演のギャグドラマ『心はロンリー 気持ちは「…」』の最新作が21年ぶりに復活します。この伝説のドラマを見てクスッと笑って育った方も多いと思いますが、何を隠そう私、西山喜久恵(フジテレビアナウンサー)も大ファンの一人。

また、12作目となる今回ももちろん、総合演出はさんまさんと長年タッグを組んできた『オレたちひょうきん族』の三宅恵介さん。先日、ドラマのPR番組の司会を担当しお二人に話を聞くことができました。残念ながら今回が「FINAL」となるということで、これまで培ってきた二人の関係性・作品への思いを聞きました。

【画像4枚】21年ぶりに復活する明石家さんま主演のギャグドラマ『心はロンリー 気持ちは「…」』について語った明石家さんま&三宅恵介D&西山喜久恵アナの写真を見る

西山:三宅さんと出会った時のことを覚えていらっしゃいますか?

明石家さんま(以下、さんま):45年前ですね。22、3歳の頃、『爆笑ヒットパレード』の中継の時ですね。(桂)三枝(文枝)さんに「さんまっていうのがいるんだ!」と推薦してもらって出させてもらって。そこを仕切っていたのが『オレたちひょうきん族』のディレクターで、三宅さんもその一人で。東京に来るつもりもなかったし。

西山:その時に、面白いマジックをしたんですよね?

さんま:『爆笑ヒットパレード』は大晦日に集まって元旦が本番なんで、大晦日にトランプしたのを覚えてますね。

三宅:その時、さんまさんがマジックをして、わざと失敗して。その見せ方・周りへの気遣いが素晴らしかった。

さんま:三枝(文枝)さんがマジックに凝っていて、たばこを立てて箸袋を下にして引いてバーンと落とすという(誰でもできる)マジックを披露していて、「さんま、お前これできるか?」と言われて。

できたらダメなんで、机に指を打ち付けて「いたー!」って失敗して、「アホやなぁ」とみんなが笑って。それを見て三宅さんが「偉いなぁ。あの人は…。」と感心してくれたとあとから聞きました。

さんまさんは、実は努力の人!

『オレたちひょうきん族』から生まれた(さんまさんが扮した)“ブラックデビル”の「ウエッ」という声。さんまさんが『ロードランナーとワイリー・コヨーテ』というアニメのセリフからヒントを得て、「ウエッ」という声を思いついたそうです。いろいろな「ウエッ」のパターンを録音して三宅さんに聞いてもらい、13番目の録音が採用されたそうです。意外なさんまさんの一面。ご本人はどう感じているでしょうか。

西山:さんまさんは、努力の人なんですか?

さんま:いやいや。あの当時は、こだわってたんですよ。1週間、ワンシーンをどのようにして笑いを作ろうかばっかり考えてましたね。何か新しいもの、何か新しいもの、新しくなくても新しいものを追いかけてましたね。

新しいものへの挑戦!テレビを大事にしている

西山:「心はロンリー」も新しいものへの挑戦だったのですか?

さんま:あの時は、斬新だったんです。

月曜ドラマランドという枠で『のんき君』というレギュラーを持っていた。失礼かもしれないけど「これを笑いと思われたら嫌だなぁ」という思いがあり、「それじゃあ作りましょうか」となり、最初の1時間半のドラマを田中美佐子さんとやらせていただきました。

西山:さんまさんがドラマを作るというのは意外だったのではないですか?

さんま:テレビで新しいものを作るというのが正しいのかも。僕は、ドラマもドラマとして出ていないんで。テレビのドラマという企画に参加しているという考えで出てる。今日、現在も。テレビを大事にしてるんですよ。

ここでお客さん・茶の間のために何をしたらいいのか?ここは真面目に芝居をしたら喜んでくれるだろうか?ここはふざけた方がいいのだろうか?ドラマもそういう気持ちでやってましたね。芝居なんてできないですし。

芝居を好きになると芝居の方に行かないと役者さんは無理じゃないですか。僕は、バラエティをやっているんで。危ないところで世間におだてられて、もうちょっとで三國連太郎になるところだった。(一同爆笑)

西山:危ない、危ないですね?(笑)

さんま:その頃、三國連太郎さんから1時間半のコントを撮って没になった企画があると聞いたんです。「さんまちゃんダメだったんだよ。笑いの人は笑いの人。我々は役者だね」という話を『さんまのまんま』でおっしゃっていた。

(三國さんが出演する)『釣りバカ日誌』を見てそれ(笑いとドラマの違い)が分かったシーンがあったんですよ。(西田敏行さん演じる)浜ちゃんがギャグを言ってズッコケる。ビールが揺れる。

我々(芸人)はズッコケたところで終わるんです。(役者である)三國さんはそれを止めようとする。芝居で演じてしまう。役者としては大正解。お笑いは止まらないとダメ。三國さんがぶつかったところはここかと分かったんです。

『心はロンリー気持ちは「…」』のきっかけは、“参宮橋金曜サークル” 『心はロンリー気持ちは「…」』のきっかけは、“参宮橋金曜サークル”

『「心はロンリー気持ちは「…」」を制作する母体となったのは、「参宮橋金曜サークル」。メンバーは、明石家さんまさん、三宅恵介さん、大岩賞介さん、藤沢めぐみさん、君塚良一さんの5人。

説明するまでもないのですが、大岩賞介さんは、パジャマ党(萩本金一の座付き作家集団)の作家。藤沢めぐみさんは人気の放送作家。当時、萩本企画にいた君塚良一さんは、のちに『踊る大捜査線』『教場』などの脚本を手掛けるなどといったそうそうたるメンバー。そこに明石家さんまと三宅さんが加わるのだから、さぞかし賑やかで楽しい会話が繰り広げられていただろうと想像できます。

西山:そのサークルでは、どんなことを話していたんですか?

三宅:さんまさんが独身の頃、大阪から東京に引っ越してきた参宮橋のマンションで、毎週金曜日の夜、あーでもないこーでもないとみんなで集まって好きな映画や舞台の話をして楽しんでいたんですよ。

ドラマチームが『月曜ドラマランド』の笑えるドラマをやっていて、それを見て5人が「もっと違う笑いをやろうじゃないか」と作ったのが『心はロンリー』なんです。ちょっとした挑戦。

俺もそうだし、さんまさんもそうだと思うんだけど、ドラマだろうが、バラエティだろうが、一つの番組っていう意識がある。両方合わせてバラエティドラマっていうのが分かりやすいかな。

当時、ザッカー兄弟が手掛けた映画『フライングハイ』というギャグ映画やレスリー・ニールセン主演の映画『裸の銃(ガン)を持つ男』が好きで参考にした。コメディではないギャグドラマ。『心はロンリー』は、ギャグをやってすぐその役に戻れるさんまさんにしかできない。今やれるのは、さんまさんだけなんだよね。

21年ぶりの『心はロンリー』復活は、後輩からの告白がきっかけ 21年ぶりの『心はロンリー』復活は、後輩からの告白がきっかけ

西山:21年ぶりに『心はロンリー』を作ることになったきっかけは何だったんですか?

三宅:2022年の6月。バラエティーセンターの局長だった後輩がフジテレビから離れることになり「僕は、『心はロンリー』を見てフジテレビに入ろうと思ったんですよ。ぜひ“FINAL”を作れませんかね?」と打ち明けられた。

それをさんまさんに話したら、「それだけオファーがあるんだから、やりましょう」と。そして去年の12月に中華料理店で参宮橋金曜サークルの5人が久しぶりに集まって刑事ものをやりたいと盛り上がったんです。

そんな後輩からの言葉をきっかけに、20年ぶりにあのメンバーが集まり、月に1回くらいのペースで企画・台本を作成。『心はロンリー』には、台本にもさんまさんが深く関わっていて、企画やギャグのアイディアまで出しているそうです。

今回のテーマは、「父と娘の葛藤」。主役の刑事をさんまさんが、その一人娘を川口春奈さんが演じています。

西山:今回の『心はロンリー』の見どころを教えていただけますか?

三宅:今回のテーマは、「父と娘の葛藤」。娘は唯一父親に説教できる存在でしょ。ある種、さんまさんのドキュメントドラマになっているんですよ。川口さん演じる娘の「和久(わく)」という名前は、さんまさんがつけたんだけど、実際に大竹さんとの間に二人目の女の子が生まれたら「和久」という名前にするつもりだったそうで、その理由は「ワクワクして生きてワクワクして死にたい」という思いから。

「楽しくなければテレビじゃない!」を体現し、フジテレビのバラエティを牽引し続けてきた三宅さん。そんな三宅さんが笑いを作るにあたって何を大切にしてきたか聞いてみました。

西山:三宅さんが笑いを作るにあたって大事にしてきたことは?

三宅:師匠である萩本欽一さんから教わったことなんだけど、「普通の生活をしなさい」ということ。「笑いは普通をずらすこと」。普通が分からないと笑いも何もできない。笑いだから、とみんな変なことをやろうとするけどそうじゃない。あとは、みんなが嫌がることをしない。当たり前だけど大事なことなんですよ。

笑いは、もともと上の者・権力を風刺すること。それが今は、上の者が下に向かっている。それは、ただいじめているように見えて嫌なんだよね。

マツコ曰く「さんまさんは、いいお父さんにいっぱい巡り会ってきた」 マツコ曰く「さんまさんは、いいお父さんにいっぱい巡り会ってきた」

西山:三宅さんのように一緒に作ってくれる仲間がいたことをどう思いますか?

さんま:ありがたいことですね。いつもマツコ(・デラックスさん)に「さんまさんは、いいお父さんにいっぱい巡り会えて良かったね」とよく言われるんです。本当にそうだと思っていて。

三枝(文枝)兄さん、きよし師匠、やすし師匠もお父さんの一人。三宅さんもお父さんの一人。良く「母校から卒業した時に父に出会う」っていうじゃないですか。「母校」って「母」という字を書きますよね。母から巣立って父に出会うんですよ男は。女性でアドバイスくれた人も「父」ですね。そう解釈して今も生きています。

最後に三宅さんに「さんまさんに出会えて幸せでしたか?」と質問したとこところ、少し食い気味にこう答えてくれました。

三宅:それは、幸せですよ。こんな年になって、今年で後期高齢者75歳でフジテレビを離れてもこうやって番組をやらせてもらっていて。さんまさんが活躍しているからこそ、私もやらせてもらっている。この年になってやることがあるというのがすごくありがたい。今度の『心はロンリー』もただただ感謝でしかない。

テレビを大事にし、人との繋がりを大切にする。シンプルだけど、お二人の言葉には重みがありました。当たり前のことを実践してきたお二人だからこそ、長く第一線で笑いを作り続けてこれたのだと改めて感じました。

土曜プレミアム フジテレビ開局65周年企画『心はロンリー 気持ちは「…」FINAL』は、4月27日(土)21時より、フジテレビで放送されます。

<番組概要> <番組概要>

土曜プレミアム フジテレビ開局65周年企画『心はロンリー 気持ちは「…」FINAL』

放送日時:

4月27日(土)21時~

出演:

明石家さんま

川口春奈

吉田羊

味方良介

松本薫

高田純次

でんでん

菅原大吉

入江甚儀

中尾明慶

村松利史

生越千晴

青山隼

大竹しのぶ

ワンシーン出演:(五十音順)

磯野貴理子、一ノ瀬ワタル、岩井ジョニ男(イワイガワ)、川端健嗣(フジテレビ)、キンタロー。、次長課長(井上 聡、河本準一)、ジミー大西、ジョニー志村、せいや(霜降り明星)、関根勤、ナインティナイン(岡村隆史、矢部浩之)、中垣みな、ニューヨーク(嶋佐和也、屋敷裕政)、ブラックマヨネーズ(小杉竜一、吉田敬)、堀口文宏(あさりど)&後藤藍、マギー審司、みかん、Mr.シャチホコ、三宅デタガリ恵介、八木亜希子、山口もえ、礼二(中川家)

ほか

脚本:君塚良一

ギャグ考案:大岩賞介、藤沢めぐみ/杉本高文

音楽:門司肇

主題歌:

THE ALFEE『ロマンスが舞い降りてきた夜』(ユニバーサルミュージック)

チーフプロデューサー:渡辺俊介

プロデュース:竹岡直弘、高橋味楓、野田悠介

総合演出:三宅恵介

制作・著作:フジテレビ

公式HP:https://www.fujitv.co.jp/lonely-final/

© 株式会社フジテレビジョン