『Believe』木村拓哉が絶望から這い上がる姿は希望になる 想像を超えるシーン連続の幕開け

木村拓哉が主演を務めるドラマ『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系)が、4月25日にスタートした。

第1話を観終えた率直な感想は、「面白い!」というのと同時に、「思ってたのと違う!」というプラスの意味での2つだ。

驚くのが、狩山陸(木村拓哉)が大手ゼネコン「帝和建設」の土木設計部部長であり、刑務所の囚人であるということ。東京地裁に被告人として出廷した狩山が1年6カ月の懲役を受ける衝撃的なシーンから幕を開ける第1話は、彼がなぜ「業務上過失致傷罪」の責任を問われることになったのかまでが、現在と過去が交錯するように描かれていく。

テレビ朝日開局65周年記念作品として制作される本作は、第1話から「これ、予算大丈夫か……?」と心配になるような壮大なスケールでのシーンが視聴者を惹きつける。それが帝和建設が従事する「龍神大橋」の建設、そして崩落だ。

橋を支えるハンガーケーブルが破断し、給油用車両に激突して炎上。鳴り響くサイレン。切れたケーブルが作業員の若松を弾き飛ばす。死者1名、重軽傷者3名を出した崩落事故の原因は「橋梁主材破断」とされており、そこには若松たちの会社が安全性の低いワイヤーに変更し、その差額を負債に当てていたために起こった人災、犯罪であった。

狩山は監督不行届として、警察に証拠を提出することを社長の磯田(小日向文世)に提案するが、会社を守るために磯田は原因を隠蔽するように狩山へと懇願。真実に蓋をした結果、狩山は全責任を被り、実刑判決を受け刑務所入りとなるわけだ。

第1話の脚本構成も見事だが、やはり特筆すべきは放送まで多くが語られてこなかった狩山の刑務所でのシーンの数々だろう。木村拓哉が受刑者役というのも新鮮だが、殺人未遂犯・野口ヒロト(濱田龍臣)、特殊詐欺犯・灰谷耕太(一ノ瀬ワタル)、強盗犯・赤塚力(持田将史)というアウトローな同房者3人、さらに刑務官たちとのスリリングなやり取りは先述したゼネコンで働いていた頃とは全く異なる人生を歩んでいる。

「みなさんに怪我をさせたくないので」とほかの受刑者に不敵な笑みを見せ、同房者たちの乱暴な歓迎にも応戦したり、大量の刑務官相手に無茶な逃亡を図り主任刑務官・宇崎誠吾(尾上寛之)に矯正護身術で沈められたりと、ここまでアクションシーンの多いドラマだと誰が予想していただろうか。

ただ、本作の脚本・監督には、木村が主演を務めた『BG~身辺警護人~』シリーズ(2018年、2020年)を手掛けたチームが再集結していることが象徴するように、『Believe』は狩山が刑務所というある種の絶望からもう一度光の射す場所へと手を伸ばす物語でもある。どんな時だって諦めることのない、希望を追いかける木村拓哉像だ。弁護士の秋澤良人(斎藤工)や妻の玲子(天海祐希)に刑務所から手紙を出す狩山。「もう嘘はつかない」と妻への手紙に綴った狩山は真っ直ぐに前を見据え歩き出していた。

(文=渡辺彰浩)

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