【ミャンマー】スーチー氏は今も国家顧問、タイに抗議の声[社会]

ミャンマーとタイの312の市民団体は21日、タイ外務省が声明で民主派指導者アウンサンスーチー氏を「前国家顧問」と記述したことに抗議した。ミャンマー軍事政権を正統な後継政府と認めているような内容であるとして、撤回を求めた。

パーンプリー副首相兼外相は17日、猛暑対策でスーチー氏らを首都ネピドーの刑務所から「自宅に移送した」との国軍報道官の発言を歓迎する声明を出した。ここでスーチー氏と大統領だったウィンミン氏の役職をそれぞれ「前国家顧問」「前大統領」と記述した。

市民団体は、タイ政府によるミャンマー軍政の承認と捉えられかねず、国際犯罪を容認し、地域の安定に影響を及ぼすと指摘した。東南アジア諸国連合(ASEAN)や国連安保理の決議文、タイ外務省がかつて発表した声明と役職名の表記が異なっているという。

また、両氏が刑務所から自宅に移送されたと国軍報道官が述べたという点に言及。報道官は自宅移送とは明言していないとし、タイ政府に対して「自宅移送」の根拠を示すよう要求した。国軍報道官の説明では、猛暑対策が他の高齢受刑者を含むものとされ、「自宅移送」とはされていないと指摘した。

ミャンマーでは2021年2月1日、国軍によるクーデターが勃発。以降は情勢不安が続いている。

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