戸出菜の花 最後のフェス 29日、高岡 農家1軒で人手足りず 5年ぶり20回目「心に残る催しに」

菜の花畑を眺める来場者=2019年4月、高岡市戸出西部金屋

 高岡市の高岡オフィスパーク一帯で29日に開かれる「高岡といで菜の花フェスティバル」(富山新聞社後援)は、20回目の今年が最後となる。コロナ禍による中止を経て5年ぶりの開催となるが、フェスの運営を担う菜の花の生産農家が現在は1軒のみとなり、人手不足が響いた。関係者は「最後は来場者の心に残るイベントにしたい」と話す。

 フェスティバルは、戸出地区の菜の花や菜種油をPRし、地域活性化につなげようと2001年に始まり、バルーンセレモニーや菜の花畑を駆け抜けるマラソンが人気を集めた。高岡法科大の学生も運営のボランティアに参加したりするなど、にぎわいをもたらした。

 ただ、20~23年は新型コロナのため中止となった。約20ヘクタールだった菜の花の栽培面積は約5ヘクタールと激減したことなどから、実行委は今年のフェスティバルを最後と決めた。

 戸出はかつて菜種作りが盛んで、地名も「灯油田(とうゆでん)」が由来とされる。転作大豆や麦に代わる特産品として1998(平成10)年に生産を再開させた。

 ピーク時は20軒近い農家が栽培したが、菜種油の採算が合わず、売り上げも伸び悩んだため生産者が減少し、現在は高畑ファーム(高岡市戸出西部金屋)のみが栽培する。

 会場では、メッセージと菜種を取り付けた風船を一斉に飛ばすバルーンセレモニーを行う。戸出中吹奏楽部による演奏や越中大島太鼓も披露される。

 高畑豊司会長は「フェスは終わっても花は咲き続ける。菜の花を見て、かつての戸出の特産に関心を寄せてほしい」と述べた。フェスティバルの角玄富雄実行委員長は「次世代へ伝え、心に残るイベントにしたい」と話した。

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