年度内に復興計画 液状化被害の内灘町 5月、庁内に本部

液状化の被害を受けた道路=内灘町西荒屋

  ●被災町民に意向を調査

  ●道路、住宅再建へ具体策

 能登半島地震で深刻な液状化被害を受けた内灘町は5月、庁内に復興本部を設置し、今年度中に道路や住宅の再建に向けた計画を策定する方針を固めた。被害が大きかった地域の土地利用に関する考え方をまとめるほか、インフラ整備や家屋改修の具体策を決める。住民への意向調査も実施し、結果を参考にしながら未曽有の地盤災害に見舞われた町の再建を急ぐ。

 復興本部は川口克則町長を本部長とし、副町長や教育長、部長らで構成する。手始めに、壊滅的な被害を受けた町北部を中心とした土地利用の方針を定め、復興に向けた大まかな道筋を示す。

 詳細な計画の策定に向けては、本部の下に専門の委員会を設け、道路整備や住まいの復旧について技術的な検討を進める。国や石川県が実施した測量、ボーリング調査の結果などをもとに協議する。

 被災者に対しては、作業の進捗(しんちょく)状況を説明したり、意見や要望を聞いたりする場を用意。住民の合意形成を第一に、災害に強いまちづくりを目指す。

 内灘町では、町北部の液状化被害に加え、広い範囲で地盤が水平方向にずれる「側方流動」現象が発生。道路が波打ち、沿道の住宅が大きく傾くなどした。

 建物の応急危険度判定では、西荒屋地区で37.2%の161件、室地区で45.2%の113件が立ち入り禁止を示す赤色の「危険」と判定された。

  ●土地の境界確定が課題

 復旧・復興に向けては、広い範囲の地盤改良が必要で、土地が変形しているため敷地の境界確定も大きな課題となる。測量から始めなければならず、作業の長期化が予想される。

 加えて、町が3月に被災地区6カ所で開いた住民説明会では、参加者から「復旧のめどを明確に示すべきだ」「町からの情報がなく、不安やストレスが募るばかりだ」との批判が出ていた。こうした声を受け、ロードマップとなる計画を策定し、町民に見える形で復旧・復興を進める。

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