【天皇賞】サリエラ 71年ぶり牝馬Vへ歴史の扉開く 最内枠に国枝師も満足“幸運の馬房”に吉兆? 

 手入れを受けるサリエラ(撮影・石湯恒介)

 「天皇賞(春)・G1」(28日、京都)

 1953年のレダ以来、71年ぶりの牝馬による春盾制覇を目指すサリエラ。ゲットした1枠1番は、84年のグレード制導入以降で最多8勝を挙げる吉兆枠だ。前人未到のJRA通算4500勝へ、あと「5」に迫った盾男・武豊騎手(55)=栗東・フリー=を背に、偉業達成へ挑む。

 半世紀以上閉ざされた重たい歴史の扉をこじ開けてみせる。53年のレダ以来、71年ぶりの牝馬による春盾制覇を目指すサリエラ。84年のグレード制導入後は、延べ28頭の牝馬が出走するも連対すらなし。それでも、国枝師は「十分チャンスはあると思っている」と手応えをにじませる。

 快挙に向けた“吉兆”もある。栗東滞在中の馬房は、同様に栗東滞在から09年の春盾を射抜いた厩舎の先輩マイネルキッツと同じ。さらに、今年の桜花賞を勝った厩舎の後輩ステレンボッシュも過ごした幸運の馬房だ。担当する椎本助手は「関係ないと思いますけどね」と笑いつつも、「栗東滞在も2回目なので慣れた感じ。追い切り後も変わりないですし、精神的にも落ち着いていますね」とリラックスした雰囲気に目を細める。

 21年に偉業に挑んだ先輩カレンブーケドールは3着。惜しくも勝利には手が届かなかったものの、55年に2着に入ったセカイイチ以来、66年ぶりに牝馬で3着以内に好走した。同助手は「カレンはゴツくてパワフル。一方のサリエラは、いかにもきゃしゃな女の子」とタイプの違いを説明するが、厩舎として牝馬でも長丁場で勝負できる感覚はつかんでいる。

 先輩がなし得なかった偉業達成へ-。「記録はあとからついてくるもの。でも、結果的にそうなればいいですね」。父ディープインパクトは同レースで歴代最多タイの4勝を挙げる。血統の後押しも受け、5歳牝馬が自然体で歴史に新たな1ページを加える。

 サリエラは過去10年で4勝している1枠1番に決まった。「どこでもいいと思っていたけど、いいんじゃないのかな。ポンとスタートを決めて、流れに乗ってユタカ(武)君がうまく運んでくれるでしょう」と満足そうに笑った国枝師。「長い距離はロスなく行くのが大事だからね。真ん中あたりにいって、どこかで動く時に一番いいポジションにいてほしい」とレースをイメージした。

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