鹿島/現場製造式爆薬でトンネル全断面発破、「装薬」自動化へ実証施工

鹿島は岩盤面の孔内に装填するまで火薬化しない「バルクエマルション爆薬」を採用した全断面発破を、国内の山岳トンネル工事で初めて実現した。同社が進める次世代の山岳トンネル自動化施工システム「A4CSEL(クワッドアクセル) for Tunnel」の施工ステップの一つ「装薬」の自動化に向けた取り組み。2023年12月に切羽での高所装填作業向け設備を含む製造許可を取得。2月12日に神岡試験坑道(岐阜県飛騨市)で初発破し、安全性や精度などを確認した。
バルクエマルション爆薬は、工事現場内で非火薬の原料を混合して火薬化することが認められている。原料は装填機先端で初めて混合され一定時間経過後に火薬化するため、高い安全性が担保される。従来の爆薬のように火薬・火工品としての厳しい管理体制が不要となる。
専用装填機を用いることで、孔ごとの装薬量や配合データを自動で記録・管理できるため、次の発破に向けたフィードバックも可能。同爆薬は耐水性に優れ、適度の粘性を保持しているため、装填率を調整できる。発破する岩盤条件に即した最適な装薬が可能となる。
同社は火薬製造に関する法的制約をクリアし、神岡試験坑道で移動式製造設備(専用装填機)による同爆薬の現地製造を可能にした。4月末までに計14回発破。同月初旬から4回にわたって許認可関係省庁らを対象に同坑道での発破を公開し、延べ約50人が山岳トンネル工事での同爆薬による発破を視察した。
装薬・発破作業は、同社開発の「最適自動発破設計システム」に基づき作成された発破計画に従って実施。安全に各孔に所定量の爆薬を装填し、最適な全断面発破が実施できることを確認した。
今後、高い安全性を確保できる同爆薬を用いた技術開発を進めることで、装薬・発破作業の自動化と効率化を目指す。安全性を確保した上で装薬作業の効率化を目指した改善を図り、同爆薬の普及と装薬自動化につなげる。

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