『鎌倉殿の13人』で“圧倒的な存在感”…中川大志が小栗旬の背中から学んだ「闘い方」

中川大志 撮影/川しまゆうこ スタリイスト:徳永貴士 ヘアメイク:佐鳥麻子

2009年にデビューして以来、確かな演技力でキャリアを重ねてきた俳優・中川大志さん。映画、ドラマから舞台まで、そして現代物から時代劇まで、数々の話題作に出演し、幅広い役柄で魅力を放つ中川さんの「THE CHANGE」とは――。【第1回/全4回】

小学5年生のときに芸能界に入り、ドラマ『家政婦のミタ』(日本テレビ系)の長男役で注目を浴びた中川さん。その後も、NHK連続テレビ小説や大河ドラマに出演するなど数多くの作品に出演し、キャリアを重ねてきた。5月17日からは最新出演映画となる『碁盤斬り』も公開される。そんな俳優人生の中で、「影響を受けた人は?」と尋ねてみると――。

「いっぱい、いすぎますよ(笑)」

そう笑う中川さんだったが、最近では「ある年」に共演した人物が特別だったという。

「2022年は、僕にとって、まさしく“THE CHANGE”な出会いがあった年でしたね」

2022年、中川さんはNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演。三谷幸喜さんが脚本を手がけ、小栗旬さんが演じる鎌倉幕府の二代執権・北条義時を主人公に繰り広げられたこのドラマは大きな話題となり、多くの人々の心をつかんだ。本作で中川さんは、鎌倉幕府の若手御家人・畠山重忠を演じ、高い評価を得た。

「もちろん作品自体が素晴らしくて、本当にたくさんの方が観てくださり、『おもしろかった』と言ってくださったことも嬉しかったんですが、なんと言っても小栗旬さんとご一緒させていただいたことが、僕にとって、とても大きな出来事でした」

プライベートでは何度か会う機会があったが、意外にもこの作品が初共演。リハーサルから本番と共に過ごす時間の中で、何度も“小栗旬のすごさ”を体感したという。

「俳優としてリスペクトしているというのは言うまでもないことですが、僕が感銘を受けたというか、刺激をもらったのは“現場への向き合い方”。……“闘い方”といってもいいかもしれません」

小栗旬は「逃げない」…圧倒的だった存在感

小栗さんの“闘い方”とは、いったいどういうものなのだろう?

「映像の世界だけではないと思いますが、物事には変えてはいけないことと、変えなければならないことがあると思うんです。小栗さんは、作品を良くするために変えていかなければならないことがあれば、先頭に立って闘ってくれる。あえて憎まれ役を買って出てくださる。そして、絶対に諦めない方です」

中川大志 撮影/川しまゆうこ

現場を共にする俳優のため、スタッフのため、そしてなによりも今後のエンタメ業界がよくなるために闘う小栗さんの姿は、中川さんにとって圧倒的だった。

「そこに向き合うことって、エネルギーを使うじゃないですか。でも、小栗さんはそういう問題点から逃げない。それは、やっぱり真ん中に立って引っ張っていく存在だからこそ、なんですよね。すごくその姿に周りも影響を受けましたし、自分もこれから向き合っていかなきゃいけないと感じました」

小栗さんの背中が見せてくれた勇気と闘い方――。それを糧に、中川さんの俳優人生がどう変わっていくのか、今後の活躍に注目したい。

なかがわ・たいし
1998年6月14日生まれ。東京都出身。2011年、ドラマ『家政婦のミタ』(日本テレビ系)で一家の長男役を演じ、注目を集める。以来、数多くの映画、ドラマで活躍。2019年には映画『坂道のアポロン』『覚悟はいいかそこの女子。』で、第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な出演作品として、映画『四月は君の嘘』(2016年)、『砕け散るところを見せてあげる』(2021年)、NHK連続テレビ小説『なつぞら』、NHK大河ドラマ『真田丸』『鎌倉殿の13人』、TBS系火曜ドラマ『Eye Love You』などがある。

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