阪神の次期スター候補・前川右京、データから見える課題と「猛虎左の強打者列伝」への道

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今季18試合出場で打率.293

阪神期待のスター候補・前川右京が貴重な経験を積んでいる。ここまで18試合に出場して41打数12安打の打率.293。時にはスタメン、時には代打で起用されながら首位を走るチームで必死にくらいついている。

強豪・智弁学園高時代は1年夏から4番を任され、3年夏の甲子園で準優勝。高校通算37本塁打を放った左のスラッガーとして、2021年ドラフト4位で阪神に入団した。

1年目はケガもあって二軍で21試合に出場したのみだったが、2年目の昨季は一軍で33試合に出場して打率.255。6月6日の楽天戦で宋家豪からプロ初安打を放ち、大器の片鱗をのぞかせた。

迎えた今季、開幕一軍入りを果たして全試合に帯同。待望のプロ初本塁打こそ出ていないが、3割近い打率を残しており、今後の成長が期待されている。

外角は高打率も課題は内角のさばき方

20歳のホープは外角球に強い。どちらかと言えば引っ張る打球が多いが、逆方向にも打てるため打率も残せている。ストライクゾーンを9分割した今季のコース別打率は以下の通りだ。

打数が少ないためあくまで参考数値ではあるが、真ん中と外角のベルトラインより上のコースは打率3割以上を示す赤色に染まっている。

逆に内角高めと低め、真ん中低めは打率2割未満を示す青色だ。内角のさばき方が課題であることが分かる。

前川はややドアスイング気味のため外角球も巻き込むように引っ張ることがある。それだけミート力のある証拠とも言えるが、内角球に対して肘をたたんでバットを抜けるようになればさらにヒットゾーンは広がるだろう。

掛布、桧山、鳥谷ら左の強打者の系譜

阪神の球団史を振り返ると、時代を彩った左の強打者は数多い。

生え抜きで初めて2000安打をマークした藤田平、「ミスター・タイガース」掛布雅之、史上最強の助っ人ランディ・バース、「代打の神様」桧山進次郎、2003、2005年のV戦士・金本知憲、生え抜きで球団史上2人目の2000安打・鳥谷敬、メジャーから帰国して8年間在籍した福留孝介ら名プレーヤーが甲子園で躍動した。

現役でも佐藤輝明はその系譜に名を連ねる有資格者と言える。さらにその先、前川が数年後に中軸を担うようになれば、近本光司、中野拓夢、森下翔太、大山悠輔らと組む打線はより強力さを増す。岡田彰布監督が実戦経験を積ませている若虎のさらなる成長が楽しみだ。

※成績は4月24日現在



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