国交省/直轄工事の契約変更に第三者関与、25年度にも導入・対象選定の基準検討

国土交通省は直轄工事の設計変更・契約変更手続きの透明性を確保するため、契約変更前に受発注者以外の第三者から意見を聴取する新たな仕組みを導入する方向で検討に入った。今後具体化し、受発注者双方の現場関係者への周知徹底に一定期間を設け、早ければ2025年度にも導入する。全工事を対象に含めるのは現実的に難しいとの想定から、意見聴取を必要とする工事の判断基準などを設ける見通し。第三者の関与による進行中の工事への影響など、運用上の諸課題を整理した上で詳細を固める。
24日の衆院国土交通委員会で斉藤鉄夫国交相が表明した。立憲民主党の城井崇議員が全体事業費と個別工事の契約額のどちらでも増額する場合のルールの見直しが必要と指摘したことに答弁する中で明かした。
全体事業費は5年ごとに再評価の仕組みがあり、都道府県などの意見を聞いた上で学識者などの事業評価監視委員会で事業費増などの妥当性を評価している。一方、個別工事の契約変更は受発注者の協議で決定する。これに城井氏が「発注者と受注者以外の視点で(増額変更の妥当性を)チェックする仕組みをつくるべき」と要求した。
国交省は今月以降、地方整備局などで個別工事の契約変更の内容をインターネットで原則公表している。斉藤国交相は契約変更の透明性をさらに高める意向を示し、第三者からの意見聴取を含め「具体的な取り組みを検討する」と話した。
現状の契約変更では必要に応じ、協議の迅速化を目的に受発注者が一堂に会する「設計変更審査会」を開いている。例えば関東整備局では21年度に契約・完了した道路・河川工事など334件で増額変更した252件のうち、約5割の132件で開催実績があった。
同審査会は原則全工事を対象に受発注者のいずれかの発議を前提とする形で開かれ、開催の目安として構造や工法の重要な変更、新規工種の追加などを挙げている。こうした既存の枠組みに、第三者が関与する仕組みがどう組み込まれるのか現時点では未定だ。
第三者の関与で進行中の工事が滞るなどの影響が出ないような配慮も必要。契約変更の実施件数は全国で膨大となると予想され、どのような専門家が意見聴取に対応可能かどうかも検討課題となりそうだ。

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