しまむら 2024年2月期連結業績で売上高・営業利益高で過去最高を更新

しまむら(埼玉県/鈴木誠社長)は4月1日、2024年2月期の決算を発表した。売上高は6,350億円(前期比3.1%増)、営業利益高553億円(前期比3.8%増)と当期累計で計画を大幅に上回る実績で過去最高を更新。外的要因として新型コロナウイルス感染症の影響や物価上昇などがあったものの、各事業で商品力と販売力の強化に取り組んだことで、売上高と利益を確保した。増収増益につながった背景に迫る。

株式会社 しまむら 代表取締役社長. 鈴木誠

事業別の売上高でも各分野ともに前期比で増加

しまむらでは、店舗での事業のほかに「アベイル」「バースデイ」「シャンブル」「ディバロ」といったブランドを展開している。
これらのなかでも、全体の構成比の1割を占める「アベイル」(ヤングカジュアル中心のブランド事業)は、積極的なタレントの起用などを展開。

ブランド力の進化や品揃えを拡充させたことに加えて、共同開発ブランド商品の提案を強化し、売上を伸ばした。国内売上高ではしまむら単体で前期比で2.9%増加した。

「バースデイ」(ベビー・子供用品の専門店事業)は巣ごもり需要の反動で一部商材が不調だったものの、アベイル事業との連携を強化することで売上を確保。国内だけにとどまらず、台湾での「思夢樂」はデジタル販促の活用などにより、前期比で19.6%と好調。

また、EC事業の売上高は72.4億円と前年同期比で74.8ポイント上昇と売上高での牽引が目立つ。
店舗受取比率は9割弱と高く、送客効果にも好影響を及ぼしている。

自社開発ブランド商品を拡充し、高価格帯商品の売上も伸長

既存店の売上に関しても、しまむら単体で3.6%増加。このことについて鈴木社長は、「気温に左右されにくい品揃えや商品企画により売り上げが伸長した」と説明。

しまむら事業だけでなく、「アベイル」や「バースデイ」ともに、残暑や暖冬の影響を受け、秋冬物の動きに鈍りが生じ、客数は微減した。しかしながら、価格帯の移行やPB・JB(サプライヤーとの共同開発ブランド)の高価格帯商品を拡充させたことで、1点の単価が上昇し、客単価も約4%増加した。

高価格帯のPBである「CLOSSHI PREMIUM」は売上高が前期比で37.7%増加と高価格帯に移行しても商品の訴求力の高さがうかがえた。ブランド力の向上で客単価の向上にも手応えある様子だ。また、創業70周年記念の企画を実施し、販促を強化したことで集客にも成功した。

2025年2月期の業績予想と経営方針

2025年2月期では、売上高前期比3.9%増、営業利益1.9%の増の計画を見込んでいる。
人件費部分も昨期からの賃上げにより人材不足や離職に効果がみられたことからも、25年も増加予定。既存店の改装や修繕、販売レジの導入による費用も含め、販管費も前期比で4.8%増加予定。

鈴木社長は「今後も、『当たり前』の考え方を改め、商品力・販売力・基礎と基盤の3つを強化していく」と述べた。

基礎と基盤の強化についても、カントリーリスクを見越した生産国の見直し、やサプライチェーンの再構築に取り組む。具体的には、工場のASEAN比率を高めることや、国内の物流拠点の移築を推し進める。

中期経営計画について

2027年2月期までの中期経営計画では、営業利益高660億円、ROE8%程度を目指すことを掲げている。成長戦略の軸となるのは、自社ブランド強化・デジタル化の推進・出店の加速の3つである。その中でも、今後の行動項目としては以下のものが挙げられた。

  • 自社開発ブランド商品とサプライヤーとの共同開発ブランド商品の更なる強化
  • デジタル販促の推進とデジタル化への対応
  • 都市部を中心とした新規出店の加速
  • 既存店の改装推進
  • 安定した配当の実施と成長投資のための財務基盤の確保

© ダイヤモンド・リテイルメディア