世界では今、民主主義が劣勢に…各地で増加する権威主義国家、その背景にあるものとは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。「New global」のコーナーでは、衰退する世界の“民主主義”にスポットを当てました。

◆民主主義サミット開催! しかし世界の趨勢は…

3月18日~20日に、韓国で「民主主義サミット」が開催されました。これは2021年にアメリカ・バイデン大統領が中国やロシアの権威主義に対抗すべく提唱したもので、今回で開催は3回目。アメリカ以外で開催されるのは初で、日本や欧米など30ヵ国以上が参加。

ただ、このサミットにあたっては当初から招待国・非招待国の線引きが物議を醸し、かえって民主主義を分断に招くとの批判が。さらには中国が大きく反発し、中国メディアは「民主とは関係ない"民主主義サミット”」、「名目は"民主”、実際は"覇権”」と強く非難しています。

そうしたなか、世界の状況を見てみると現在、民主主義は劣勢に立たされています。イギリスの雑誌「エコノミスト」の調査部門が毎年発表している世界の民主主義指数を見てみると、完全な民主主義と言われる国は世界の8%以下(24ヵ国)で、欧米とそれに繋がるアライアンス、日本や韓国、オースラリアなどが名を連ねます。一方、権威主義国家は39.4%(59ヵ国)。近年増加傾向にあります。

キャスターの堀潤曰く、そのなかには民主主義を導入しながらも実際には選挙制度が腐敗し、独裁者を生んでいるカンボジアや、体裁は民主主義ながら軍がクーデターを起こし実質上は権威主義となっているミャンマー。さらには、民主主義を標榜し、革命を起こしながらも軍事衝突が起きたスーダンなどを挙げつつ、現状を説明。

また、世界167の国や地域を対象とした民主主義指数のランキングでは、ノルウェー(1位)やアイスランド(3位)といった北欧が上位に入り、日本は16位。アメリカは29位で、ロシアは144位。中国は148位となっています。日本はアジア、そして世界のなかでも上位で、平和・民主・自由がまだまだ安定しており、堀は「だからこそそれを守る、世界にその価値を広げていく使命があると思う」と言います。

◆政治不信満ちる日本の現状では…

今回の「民主主義サミット」では、権威主義がフェイクニュースや認知戦によって選挙制度を崩壊し独裁者を生み出そうとする危うい時代のなか、それらにいかに対抗するか話し合われたそうですが、堀は「認知戦やフェイクニュースが有効的な社会というのは、そもそも政治に対しての不信感、暮らしに対する不満、そして汚職などが土壌にあり、ちょっとした情報に(人々は、)揺さぶられてしまう」と危惧。そして、本来は世界に貢献すべきところ、政治と金の問題などに揺れる日本の現状を案じます。

環境活動に取り組む黒部睦さんは、民主主義指数ランキングで日本が上位であることに驚きつつ、「他の国と比べるのではなく、私たちはよりこの指数を上げていかないといけない」と高みを目指し、「堀さんの言う通り、不信があるから情報に流されやすくなってしまうので、私たち自身、日頃から政治や地域・コミュニティに入っていって、いろいろな情報に揺さぶられないようにする。自分たちが参加することが大事」と力を込めます。

一方、関西大学特任教授の深澤真紀さんは、「民主主義サミット」について「これはオバマ政権時代の『核セキュリティ・サミット』が前身で、そのときは"核の安全”という明確なテーマがあったが、今はやはり少し分断を生んでいるのでないか」と懸念。

そして、かつては「G8」や「六者会合」など世界的な枠組みのなかにロシアや中国も参加していたことを挙げ、深澤さんは「クリミア半島のことなどがあって(そうした枠組みから)外されたのは仕方ないが、(欧米と)ロシア、中国との枠組みがなくなったことが、今の時代を生み出した大きな要因だと思う」と分析していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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