テナント誘致「非常に厳しい現状」 福島駅東口再開発で福島市長

解体工事が進むJR福島駅東口再開発エリア=25日、福島市

 JR福島駅東口の再開発事業を巡り、民間エリアのテナント誘致が難航している。福島市と福島駅東口地区市街地再開発組合でテナント誘致を進める民間エリアについて、木幡浩市長は25日の記者会見で「(誘致が進まず)非常に厳しい現状にある」との認識を示した。県都のにぎわい創出に向け、誘致を進める市と福島駅東口地区市街地再開発組合だけでなく、関係者の一丸となった取り組みが不可欠だ。

 図面が固まらず

 福島駅東口の再開発を巡っては、資材価格高騰を受けて当初の計画から「劇場ホール」か「コンベンションホール」のいずれかを単独で設ける案に縮小され、コンベンション案を軸に協議が進められている。市と福島駅東口地区市街地再開発組合は23日、市が設置した「駅周辺まちづくり検討会」に駅東口にコンベンションホールを新設する計画のコンセプト案を示した。民間エリアには横丁型のフードホールやカフェ、シェアオフィスなどの入居を想定した案を提示した。

 ただ、同組合の加藤真司理事長は「まだコンセプト案が示されたばかり。図面がある程度固まらないことには、相手方と具体的な話もできない」と指摘する。コンセプト案について検討会はおおむね賛同しているものの、正式決定前には具体的なテナント誘致が難しいのが実情だ。

 飲食店が中心に

 木幡市長は25日の記者会見で民間エリアは「フードホールが中心となる」と述べ、現時点では買い物ができるような店舗の出店は難しいとの見方を示した。

 それでも組合は、テナント誘致に向けて全国を飛び回る。本県産品や土産物などを取り扱う店舗や飲食店を検討するほか、出店を希望する県内事業者も複数ある。加藤理事長は「地元企業は優先して入居してもらいたい」と期待を込める。

 空洞化は不可避

 一方、福島駅西口では総合スーパー「イトーヨーカドー福島店」の閉店が5月6日に迫る。跡地の利活用へ模索する動きもあるが、閉店後の対応は現時点で明らかになっておらず、現状では駅前東西の空洞化は当面、避けられない状況だ。

 木幡市長は25日の記者会見で跡地利用について「人を呼び集める拠点施設にふさわしいものにしたい」との考えを示した。将来的には新たな東西自由通路の在り方についても検討していく考えだ。

 福島商工会議所の渡辺博美会頭は「(東西一体型を進めることで)利便性を高めるいい機会になる」と指摘する。東口再開発施設のオープン時期が見通せない中、県都の玄関口の空洞化を防ぐためには、コンセプト案だけでなく、活性化に向けた具体的なアイデアを市民に示していく必要がある。

© 福島民友新聞株式会社