【4月26日付編集日記】卓上サッカー

 空のおはじき、お星さま。詩人の金子みすゞは、かつて子どもなら誰もが親しんだ遊びの魅力を夜空にまばゆく光る星になぞらえた。色鮮やかなおはじきを楽しんだ人は多いのだろう

 ▼元々は小石や木の実など身近な物で遊ばれた。奈良時代に盤を使う遊び方が伝わり貴族階級に広まった。さまざまな工芸品が作られ、庶民の生活に余裕が生まれた江戸期に玩具として定着した。暮らしの変遷が進化をもたらしたといえる(「おはじき」文渓堂)

 ▼指ではじくシンプルさから世界中に同様の遊びがある。英国では約70年前、選手に見立てた人形を載せて卓上サッカーが生まれた。ルールは実際のサッカーと同じ。人形をボールに当ててボールを前に進め、ゴールを目指す。年齢や性別を問わず参加できるのが魅力だ

 ▼2年に1度ワールドカップもあるが、日本ではなじみが薄い。競技を広めようと、いわき市で初の県大会が開かれた。ボールを狙い通り運ぶのが難しく、その分、熱中度が増すようだ

 ▼年を重ね、実際のサッカ ーから離れた人もいるだろう。スタジアムで声援を送るのも楽しみ方だが、どうせならプレーしたい。卓上のサッカーで遊び心を燃やし世界の頂点を目指すのもいい。

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