熊本県内18市町村「消滅可能性」 20~30代女性、30年で半減と推計 人口戦略会議が報告書

 経済界有志らでつくる民間組織「人口戦略会議」は24日、2020~50年の30年間で人口減少が深刻化する「消滅可能性自治体」を公表し、熊本県内からは天草市や芦北町、球磨村など18市町村を位置付けた。子どもを産む中心世代となる20~30代の女性が50%以上減るとの推計を根拠とした。国や自治体に対して、「地域の特性に応じた少子化対策が急務」と指摘した。

 消滅可能性を巡っては、人口戦略会議副議長の増田寛也日本郵政社長が座長を務めた「日本創成会議」が14年、若い女性の減り方に注目して分析。県内は26市町村が該当したが、今回は五木村や南阿蘇村など9自治体が「消滅可能性自治体」から脱却した一方、産山村が新たに加わった。

 さらに新たな試みとして、人口移動がある場合と、ないと仮定した場合の女性減少率を組み合わせて大きく4分類した。100年後も若年女性が5割近く残る「自立持続可能性自治体」に、県内の合志市や大津町、南阿蘇村など7市町村が該当。都道府県別では沖縄、福岡に続いて3番目に多かった。出生率が低く、他地域からの人口流入に依存している「ブラックホール型自治体」はゼロ、いずれにも該当しない「その他」が熊本市、人吉市、西原村など20市町村だった。

 報告書は九州・沖縄ブロックについて、消滅可能性自治体数が最も少なく、自立持続可能性の割合も多い傾向にあると指摘。増田氏は、沖縄県など島しょ部における出生率の高さに加え、「熊本県における台湾積体電路製造(TSMC)進出といった企業立地による雇用創出などが要因に考えられる」とした。

 全国1729自治体では、消滅可能性が40%超に当たる744自治体(前回896自治体)で、自立持続可能性が65自治体、ブラックホール型25自治体、その他895自治体だった。

 増田氏は今回の結果について、10年前の分析に比べ改善が見られるものの、主な要因は外国人住民の増加だとして「少子化基調は全く変わっていない」と指摘。「人口規模の大きい自治体は『自然減』対策、小さい自治体は『社会減』と『自然減』の両方の対策が必要になる傾向が浮き彫りになった」として、地域の特性に応じた対策の重要性を強調した。

 分析は、23年12月に国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が発表した地域別将来推計人口を基にした。(中尾有希)

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