地中構造の認識不足か 東京電力福島第1原発一部停電 掘り過ぎケーブル損傷

 東京電力は25日、福島第1原発の一部施設で24日に発生した停電は現場の認識不足が原因だった可能性が高いと明らかにした。掘削作業現場の地中構造への理解が不十分で作業員が深く掘り過ぎ、電源ケーブルを傷つけたとみている。停電により処理水の海洋放出が一時停止した。今後、作業員への注意喚起を徹底する方針。

 東電によると、現場近くの地中は上からコンクリート、砕石、ケーブルが入る管と続いている。協力企業はこれまでの経験から砕石がある層まで掘るという認識でいたが、今回掘削した場所には砕石がなくコンクリートの下に管がある構造だったため、電源ケーブルを損傷させたと推定している。作業手順書には地中の構造が記載されていなかった。

 電源ケーブルは深さ約40センチの地中に埋設されていた。作業員はケーブルを引き直すため約10センチの舗装面を剥ぎ取る作業をしていた。今後は高圧の電源ケーブルが通る箇所での工事の際は、社員が立ち会い注意を促す。

 東電の小野明副社長・福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は25日の会見で「電気を送る会社が電気に関してトラブルを起こしたことは重く受け止める。リスクに対する見込みが甘かった」と謝罪した。廃炉作業の安全確保に努める考えを示した。

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