ハウステンボス遊覧船事故 転落原因は「不明」 運輸安全委員会

 昨年4月、長崎県佐世保市のハウステンボス(HTB)で、遊覧船から男性が転落して死亡した事故で、運輸安全委員会は25日、事故調査報告書を発表した。死因は溺水によるとみられる多臓器不全。落ちた原因は不明とした上で、さまざまな事故を想定した訓練をするのが望ましいとした。
 報告書によると、事故は昨年4月12日午後8時50分ごろ発生。HTB内の運河を航行中の旅客船「デルフト」(13トン)には台湾在住の男性観光客=当時(42)=を含む乗客7人と船長1人が乗っていた。男性は1人で参加していた。
 航行中、旅客の1人が「ドーン」という音を聞き、甲板にスマートフォンが落ちていたのを船長に報告。午後9時ごろ、運行管理者などが頭部のみ水面に出て意識不明状態で浮いていた男性を発見した。男性は17日、死亡した。
 報告書では、落下の目撃者がおらず、原因究明はできなかったが、船尾甲板左舷側の舷門付近から落水した可能性を指摘している。夜間に事故が起きた場合を想定した訓練などが事故被害軽減に資するとした。

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