職場の飲み会で【女性社員は上司に歌を捧げろ!?】会社の謎ルールを → 正論でズバッと改革!

勤めている会社に謎の習慣やルールがあって、「この会社何か変だな」と思った経験のある人もいるのではないでしょうか。新人の頃は、変だと思っても口に出すことすらはばかられますよね。今回は、そんな会社の謎ルールに振り回された経験のある私の知人Kさんに聞いたお話です。

歓迎会に参加することに

Kさんは当時20代半ばで、とある会社に中途採用で入社したばかりでした。
「今週金曜日に、Kさんの歓迎会しよう!」
Kさんの勤める会社は全体的に年齢層が高く、まだ20代のKさんは同じ部署の40代のベテラン女性社員数人にみっちりとしごかれる毎日でした。

仕事は忙しいもののやりがいは十分で、真面目に仕事に取り組むKさんの姿に感心した部長が、Kさんの歓迎会を開いてくれることに。

「じゃあ、いつものとこ予約してね」
部長がそう言うと、ベテラン女性社員は「はい! もちろんです 」と元気よく答えました。

そして歓迎会当日。Kさんの歓迎会会場は大きな中華レストランの宴会場で、カラオケセットのある広間でした。

会社の謎ルール

「じゃあ、〇〇さんからどうぞ!」
ひとりのベテラン女性社員が司会者のように、他の女性社員を指名します。
「ではいきます、課長に捧げる愛のバラード、聞いてください!」
宴会が始まって間もないのに、食事もそこそこに歌いだす女性社員。Kさんは一体何が始まったのかわかりませんでした。

どういうことか聞いてみようと思い、部長の方を見ると、部長はご満悦といった様子で歌に聞き入っています。

Kさんは仕方なく、司会をしていた女性社員に一体これはどういうことなのか尋ねました。

「あのね、この部署の飲み会は誰の歓迎会であっても、女性社員が部長に歌を捧げるルールがあるの。それも昭和のふっるーいムード歌謡で、恋の歌限定。あなたも何曲か覚えておきなさいね。次回から歌わされるから」
「ええぇー!!!」
Kさんはドン引きしつつも、「ここで波風立てずに生きていくためには仕方ないのかも……」と思い、家に帰ってからムード歌謡のCDを通販で購入しました。

上司が変わって……

それから数年後、Kさんもすっかり職場に馴染み、今では飲み会で率先して部長に捧げる歌を歌うようになっていました。

ところが、やがて例の歌を捧げられるのが好きな部長が定年退職をしたのをきっかけに、新しい部長が着任。
「若輩者ですが、よろしくお願いします」
新しい部長はなんと、他の会社からヘッドハンティングされてきたまだ35歳の男性。Kさんの部署のベテラン女性社員たちよりずっと若かったのです。
「歓迎会の場所押さえました! 」
前の部長がいた時よりもウキウキした様子で、ベテラン女性社員が例の会場を予約していました。

そして歓迎会当日。いつものようにカラオケ付きの広間で、食事がテーブルに並ぶと同時にベテラン女性社員のひとりがマイクを手に取りました。
「では私から歌わせていただきます、部長に捧げる愛の……」と言ったところで、部長が口を挟みました。
「え、いきなり歌うんですか? ゆっくり食事しましょうよ。それと、部長に捧げるってなんですか? 僕は何も頼んでいませんよ、やめましょう」
部長に歌うのを止められ、会場にはいかにもムード歌謡らしい悲し気なBGMだけが流れました。

その後、部長の一声で飲み会でのカラオケは一切しないことになったそうです。職場に慣れてしまっていたKさんも、部長の制止でようやく目が覚めたとのこと。

女性社員が部長に恋の歌を捧げなければならないなんて、今の時代だとセクハラやパワハラで訴えられそうですね……。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子

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