「えほん大賞」受賞作を出版 鹿島市の童話作家・やすとみかよさん 「波を編む人」佐賀県内の小学校に寄贈

えほん大賞を受賞した「波を編む人」の絵本とやすとみかよさん=白石町役場

 鹿島市山浦の童話作家やすとみかよ=本名・安冨加代=さん(55)が、文芸社の「えほん大賞」のストーリー部門で大賞を受賞し、受賞作「波を編む人」が絵本になった。「自分の中にある大切なものを思い出せる本。広く読んでもらえれば」と佐賀県内の小学校などにプレゼントしている。

 やすとみさんの物語は2022年、応募約1500点の中から最高賞の大賞を受賞した。母親と別れてしまった女の子が、海の長老から任された「波を編む仕事」を一生懸命続けながら成長していく内容で、受賞後に福岡市のイラストレーターまつばやしかづこさんが絵を添え、昨年末に本になった。絵は呼子の海がイメージされたという。

 やすとみさんの受賞と絵本化は08年の「金木犀(きんもくせい)の咲く頃に」に続いて2作目。「1作目は事務職として勤務経験のあった鹿島や嬉野の学校に贈ったが、2作目は佐賀県内の多くの子どもたちにプレゼントしたいと決めていた」と、自ら市町の教育委員会などを訪ね、小学校数に応じて贈っている。図書館や中学校を含む場合もある。県内西北部の市町をほぼ終え、さらに中東部の市町にも贈ることにしている。

 杵島郡の3町には、白石町中心の若手建設業グループ「九州を笑顔に」(13社・川﨑一人(かずひと)代表が本を購入して贈ることになり、22日に白石町と大町町で贈呈式があった。

 やすとみさんは「心の中にある『大切に育ててもらった』という思いを胸に、つらい時でもできることを精いっぱい頑張ればすてきな道が開けていく。そんな話と美しい絵を楽しんで」と呼びかけた。絵本は文芸社刊。B5判変形判、44ページで1760円。(小野靖久) 

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